1998年12月13日(日) 風 |
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多くの尾道市民の協力で大林宣彦監督が制作した映画『あの、夏の日』 を一足早く観せてもらった▼老夫婦が暮らし、孫が夏休みを過ごすこと になった舞台尾道。大きく変わろうとはしているが、生活の場の向こう に見えている尾道の町並みがこれまでの作品以上に大切に描かれていた のが印象的。そして軽快なテンポで展開されるストーリーに、普段から 喋り、聞き慣れている"尾道弁"が登場人物の優しさを強め、親しみを深 めた。尾道にはこんなおじいさんとおばあさんが現実に住んでいるので は、と思わせるぐらい身近に感じさせられたのが不思議。▼今夏は天候 不順でスタッフをやきもきさせる撮影だったが、スクリーンに広がる山 の木々の緑は真夏の太陽に照らされ鮮やかだった。▼大林監督(=写真) は、自身が"映画のオヤジ"と呼ぶ黒澤明監督と淀川長治さんとの悲しい 別れを乗り越えて今秋、編集作業したことを振り返り、「オヤジたちの 過ごしてきた素晴らしい映画の時間を少しでも引き継いでいけたらと思 う。20世紀の遺言として、21世紀への伝えるべき言葉として1本の 映画が出来上がりました」と胸の内を話した▼市政100周年記念映画 として作られ、来年しまなみ海道が出来る頃に公開される作品。これか らどう生きていこうか考えさせられるメッセージの多い映画である。 (伝) |
風 は記者のコラム・コーナーの題名です