山陽日日新聞社ロゴ 2012年8月5日(日)
「責務」として取組む
 一番街商店街が利活用に乗り出す
  元「喫茶芙美子」再出発
   多目的な用途で一般へ貸出し 
店内の様子
 林芙美子の旧居という、尾道の大切な遺産を抱
える本通り一番街の元・喫茶芙美子の利活用に、
同商店街振興組合(山崎清光理事長)が本格着手
しようとしている。有料の貸出スペースとして、
各種ミーティング・発表の場から、展示会、短期
のチャレンジショップなど..、多目的な用途で有
効に活用してもらい、併せて、一番街独自の自主
企画イベントも展開していく。
                [林 良司]

 7月4日に開催された一番街の臨時総会にて、
同商店街としての利活用が協議された。
 先ず意義としては、「折しも来年は林芙美子生
誕110周年という節目にあたり、芙美子像と旧
喫茶芙美子をつなげた一帯を拠点として、記念イ
ベントを展開していくことが有効かつ必要である」
とし、「こうして盛り上げることは一番街の活性
化に大いにつながるので、この活動を林芙美子が
多感な頃を過ごし、そして後の華々しい創作活動
の土壌となったであろう一番街の責務ととらえて、
今一度林芙美子に対する理解と愛情を持って、旧
喫茶芙美子を活用していくことが大切である」と、
一過性的・短絡的な扱いではない、深い認識と視
野に立った動きであることが分かる(「責務」と
いう言葉に重みが増す)。
 運営面について、家賃等の必要経費は、実施中
の樽募金+寄付金、店頭に設置された自動販売機
の収入、そして貸しスペースでの利用料を当てる。
 貸しスペースの具体例では、前述の通り小規模
なミーティング、発表会、ちょっとした展示会な
どの他、短期間でのチャレンジショップも可能と
している。
 但し、この空間にそぐわない、相応しくない内
容のものにあっては、お断りする場合もあるとし
ており、何でもかんでもOKにはしないところが
良い。
 加えて自主企画も積極的に実施していきたい意
向で、芙美子の資料展示、尾道出身の女流文学者
の紹介、尾道市立大学日本文学科とのコラボ、市
立図書館との連携などが、案として上がっている。
 後日開かれた理事会において、次のように利用
料が決められた。
 展示販売など営利を伴う場合は基本料4千円、
勉強会など営利を伴わないものは2千円とし、エ
アコン使用は何れも別途千円。利用時間は10時〜
18時まで。
 無料休憩所での開放時はトイレの使用は出来な
いが、貸切利用の場合はトイレも使用可能となる。
 申込み・問い合わせは、藤原茶舗=0848・22・
4815。
 世話人代表で一番街専務理事の藤原唯恭さんは、
「芙美子の名に恥じない、アカデミックな店・空
間作りを心掛けたいと思っており、その為には一
番街だけでなく、大学やアカデミックな団体等と
連携・協働してゆくことも視野に置いています。
一番街が一丸となって取り組む姿勢は、商店街全
体を活気付けるきっかけとなり、ひいては尾道市
の活性化にも繋がり、更に行政をも動かすような
エネルギーに膨らませていきたいと願っています」
と、今後の展望と抱負を語っている。
 喫茶芙美子改め、仮称・尾道女流文学館へ向け
て、多くの市民の賛同と協力を、声を大にして呼
びかけている。



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