山陽日日新聞社ロゴ 2012年7月18日(水)
伝統保存会
夜空を深める3隻の管絃船
 夏の風物詩津部田の「住吉祭り」
  尾道高校ラグビー部生徒が参加  
管絃船を操る人々
 海フェスタイベントにふさわしい向島町、津部
田伝統保存会(舟橋伸二会長)の「住吉祭り」が
15日夜開かれ、向島町を代表する夏の風物詩を市
内外からの1500人の見物客が楽しんだ。
 午後7時、津部田コミュニティ広場で尾道ケー
ブルテレビキャスター、金田吉弘氏の名司会で幕
開け、舟橋会長の挨拶、来賓の高山博州県議が祝
辞を述べ、亀森八幡神社、吉原典孝宮司が男、女、
子どもの3隻の管弦船の巡幸の安全を祈願した。
高岡義人大組長が乾杯の発声をおこなった。
 青森のねぶた祭りを彷彿させる「チャンギリ」
のお囃子にのって大提灯、ほうづき提灯100個
が取り付けられた重さ200kgの3隻の管弦船を
「わっしょい、わっしょい」と掛け声も勇ましく
担ぎ、350メートル先の五烏(ごがらす)神社
まで練り歩いた。神社までの道すがら、夜空を染
めた管弦船の提灯が幻想的に揺らめいていた。
 五烏神社では3隻の管弦船が勢揃いし、奉納し
た。境内に設置された特別ステージでは小学校6
年生が練習を積んできた鉦、太鼓、笛による「戻
り太鼓」の熱気あふれる演奏が繰り広げられ、観
客から大きな拍手と声援が贈られていた。
 「戻り太鼓」のお囃子にのり3隻の管弦船が再
び担がれ、勢いづくまま走り、止まって船体を左
右に大きく揺らし、船上のほうずき提灯が地面に
着くまで押し倒すと観衆から「きゃあ」と黄色い
声が上がり、祭りは最高潮に達した=写真=。
 津部田地区も少子高齢化の波が押し寄せ、担ぎ
手が少なくなり、今年は地元、尾道高校ラグビー
部の生徒15人が参加、地元とのコービネーション
もよく評判よかった。ラグビー部部員はこれから
毎年、担ぎ手として参加するという。ほとんどが
市外の大阪辺りからの部員で学生時代の良い思い
出になると語り、来年は家族を呼びたいとも述べ
ていた。
 住吉祭りは江戸時代の初期、海運隆盛を祈願し
始められた。当時、津部田は天然の良港で五烏神
社前まで海で、安芸の宮島のように管弦船を浮か
べて巡幸していた。
 お囃子の「チャンギリ」や「戻り太鼓」は江戸
時代、北前船が物資とともに文化芸術も運び、青
森のねぶた祭り、秋田の竿灯のお囃子を取り入れ
たとみられ、節や言い回しがよく似ている。
 江戸時代の後期に津部田は塩田用に海が埋め立
てられ、それから以後は管弦船は陸に上がり、相
がれるようになった。



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