山陽日日新聞社ロゴ 2012年6月24日(日)
大林監督
鞆の浦埋立て・架橋計画の中止うけ
 足るを知る精神で誇る
  3.11以降の希望の道筋に
鞆の港に立つ鞆の浦訴訟の原告団長・大井幹雄さんと大林監督
 福山市鞆の浦の埋立て・架橋計画問題で、湯崎
英彦県知事が計画を中止し、山側のトンネル整備
に決めたことを受けて、住民同士の話し合いの大
切さを説いてきた映画作家、大林宣彦監督がNP
O法人鞆まちづくり工房を通じて、「鞆の浦が示
した指針について−」と、次のようなコメントを
発表した。            [幾野伝]

 日本の太平洋戦争敗戦後の復興は、総て賛成か
反対かの二分法で討議され、経済成長に役立つ
「壊しては作れ」の文明政策が賛、古い文化遺産
を「残して守る」という考えは否とされてきた。
3・11を体験して、その二分法のすぐさま結果が
出るやり方は、つまりは拙速なる繁栄であったと
誰もが気付いたいま、鞆の浦が示した方針は、三
人寄れば文殊の智恵の智恵である。永い時間を要
して賛成、反対の両者が語り合い、互いを理解し
合い、共に目差す古里の未来の豊かさを念じての、
この決断であろう。文明は消費経済を欲するが、
文化の暮らしが願うのは貯金貯蓄である。この古
い港町を足を知るの精神で誇り、温故知新の里と
して未来に生きる子どもらに備える。それこそが
3・11より未来を望む、希望の道筋であろう。わ
が古里・鞆の浦が、このような賢さ、美しさを示
し得た事を、僕は心より自慢する。鞆の浦のみな
さん、おめでとうございます。そして、ありがと
う。
 湯崎英彦知事へ。
 行政は人なり。あなたが示された思想と努力は、
まさに行政人の模範であり、僕は心よりわが里の
知事を誇ります。嬉しかった。有難かった。あし
たが明るくなりました。       大林宣彦



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