山陽日日新聞社ロゴ 2012年6月12日(火)
因島出身の宮地氏から尾道ゆかりの刀剣資料
 【備州尾道住辰房】など
  おのみち歴史博物館で今年度中に公開
辰房の槍
備州尾道住辰房重貞作 という彫り
 職人の町・尾道では、石工と並んで刀鍛冶も盛
んであった。刀工集団では、西久保町、時宗常称
寺の縁起に登場する他阿真教上人より、その姓
(阿弥号)を賜ったという「其阿弥」(ごあみ)
の名が知られるところだが、それと系譜を同じく
するものとおぼしき「辰房」(呼称についても不
詳で、トキフサ、タツフサ、タツボウなどの諸説)
なる一派の存在も確認され、其阿弥に比して資料
や残存例が少ないことから、新旧の市史において
も、半ば″幻の刀鍛冶″の如き扱いとなっている。
 その稀少な「辰房」及び其阿弥を含む尾道ゆか
りの刀剣資料が、因島出身の宮地義治さんより尾
道市へ寄贈された。
 宮地さんからは、平成21年8月に6点、22年4
月に1点の刀剣資料が市へ寄贈されており、この
度は槍1本、刀1口、脇差3口、鐔1枚が寄贈さ
れ、トータル13点の寄贈となった。
 今回寄贈の目玉は、【備州尾道住辰房重貞作】
になる槍で(=写真)、前述の通り貴重な一本。
 その他には、其阿弥や辰房の系譜の祖(初代)
に位置づけられる三原正家とおぼしき【備後住正
家】の脇差、正家の系譜に属する一派「貝三原」
【備州備後國貝三原】の脇差、其阿弥では【葵葉
違透鐔】が見られる。
 今回の寄贈品は、おのみち歴史博物館の新収蔵
品として、今年度中に同館で展示公開されること
になっている。         【林 良司】

おのみち歴史博物館の案内(尾道市)



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