2012年5月19日(土) 今月末 西御所上屋とともにポートルネサンスは? 尾道〜弓削航路が廃止 瀬戸田と常石のわずか2航路だけ |
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瀬戸内クルージング(藤井一彦代表、笠岡市 5番町)が運営する尾道〜弓削航路が5月末で 廃止される。利用客が減り、赤字経営でこれ以 上持たないと廃止を決めた。尾道港からの航路 は土日祝日に運航している鞆は別にして百島経 由の常石と瀬戸田の2航路だけになった。かつ て四国や島嶼部への本土側の拠点港だった面影 はもはやない。 尾道港、新浜、因島金山、因島土生、生口立 石から弓削に至る航路は当時の尾道市の亀田良 一市長、上島町の木下良一町長の依頼を受け、 笠岡と北木島航路を運航していた瀬戸内クルー ジングが平成13年5月、就航した。 就航当時は1日20人から30人で儲からなかっ たが、弓削商船の学生や教授、それに弓削ロッ ジや温泉のお客で1日90人前後の利用客があり、 ようやく採算に合うようになった矢先、平成20 年高速道路土日祝日1000円乗り放題が響き、客 足は就航当時の20人から30人程度に減少した。 架橋も影響、弓削と佐島間に弓削大橋が架かっ たのが平成8年、続いて平成23年2月に佐島と 生名間に生名橋が架橋、いずれも無料の県道で 弓削から生名まで陸続きになり、3分間で行き 交う生名と因島土生は町営生名フェリーでピス トン輸送、因島から尾道に車で出る人が多くな った。 また、おのみちバスが因島に乗り入れ、上島 町からJA尾道総合病院や市民病院への患者も 船ではなく、おのみちバスや本四八スを利用す るようになり、尾道〜弓削間の交通体系が様変 わりしたのも響いた。 弓削、佐島、生名の上島町の生活圏は因島で 生名と土生を結ぶ町営フェリーのほか弓削汽船 の土生〜弓削航路、家老渡フェリーの因島家老 渡〜上弓削航路、芸予汽船の土生〜弓削航路と 島巡り航路は張り巡らされている。 交通弱者のため尾道〜弓削航路の存続のため 上島町ではNPOの団体や町議が瀬戸内クルー ジンクへの運営費補助金を町に要望してきたが、 「町長にけんもほろろに断られました」(藤井 代表)。 利用客の減少で1ヵ月、100万円から多い ときは200万円の赤字で「お年寄りが喜んで くれのが何よりも嬉しい。しかし船も老朽化し 修理代もかさみ、これ以上身銭を切ってやって いけません。本当に疲れました」(藤井代表) と廃止に踏み切った。 瀬戸田クルージングは尾道〜弓削航路のほか 尾道〜瀬戸田航路も経営し、こちらはサイクリ ング客の乗船に期待をかけている。 わずか2航路に減ってしまった尾道港、港の 待合室はほとんど人気がない。西御所2号上屋 改造と同じく、港を再生するポートルネサンス も尾道にとっては課題ではある。 「写真は17日夕方、尾道港に着いた瀬戸田ク ルージングの「ホワイトドルフィン」号。サイ クリング客2人が下船していた」 |