2012年5月15日(火) 尾道薪能 衣装の華麗さ「優美な世界」堪能 若者の姿も増え伝統文化楽しむ |
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尾道の初夏の文化行事に定着している第21回 「尾道薪能」が週末の12日夜、東久保町の真言宗 浄土寺境内で開かれた。国重要文化財の阿弥陀堂 を舞台に、900人が簿火に照らされた優美な世 界を堪能した(=写真中)。 [幾野伝] 開演を前に主催する村上隆・尾道足利氏ゆかり の会会長が「21年も続けて来られたことは市民の 理解と協力があっだからこそ」と礼を述べた。 鍛治川孝雄・尾道薪能実行委員会委員長が「昨 年は20回の節目で土蜘蛛という大きな仕掛けの演 目だった。今年は21回目の新たなスタート。心を 込めて皆さまを迎える準備をしてきた。伝統文化 のステージ、夕べのひとときを楽しんで下さい」 とあいさつした。 シテ方観世流準職分の重要無形文化財能楽(総 合指定)保持者の京都府、吉田潔司さん(70)が 「10年ひと昔というが、これまで20回に亘りお客 さんを迎えることが出来た。今年は21回目、新し いスタートの年、辰年に合わせて龍の話『春日龍 神』にした。阿弥陀様の前で、お釈迦様の話は最 も相応しい演目。仏の世界に導かれ、楽しんでほ しい」と能の奥深い魅力へと誘った。 能面を付けずに、クライマックスだけを演じる 仕舞「清経」を、2年前に尾道で初舞台を踏んだ 吉田さんの孫、吉田和史君(5)が披露(=写真 下)。 夕暮れが迫り主催者と相原満・市会計管理者や 川崎育造・尾道商工会議所副会頭ら来賓による火 入れ式があり、狂言「昆布売」を茂山良暢さんら、 仕舞「敦盛」を井上裕久さん、「船辯慶」を吉田 さんが演じた。 最後にメイン舞台の能「春日龍神」を吉田さん の長男、シテ方観世流準職分の吉田篤史さん(38) が笛や鼓の音が響くなか、鮮やかで華麗な衣装で 勇壮な龍神を表現した(=写真上)。 終演後、息を切らし汗を拭きながら篤史さんが あいさつに立ち、「父と私と息子の3世代で舞わ させて頂いたが、これが後何年出来るか。しかし 22回、23回と尾道薪能を続けていきたい」と語り、 これまでと変わらない理解と支援を呼び掛けた。 年々、若い人の姿も増えてきており、「初めは 言葉の意味は分からないと思っていたが、良く聞 けぱ理解できて面白かった」、「去年の土蜘蛛は アクションが派手で良かったが、今年の龍神もき おいで激しく動く舞いに圧倒された」といった声 が聞かれた。 |