2012年4月29日(日) 晴天下みなと祭始まる 幼稚園児ええじゃんでスタート |
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港町尾道の歴史を継承し、発展を願う第69回尾 道みなと祭が28日、市街地で開幕した。ゴールデ ンウィーク初日で、春らしい天候に恵まれ、多く の人出で賑わった。 7月にある「海フェスタ」のプレイベントにも なる今年のみなと祭は、尾道港祭協会長の平谷祐 宏市長、祭実行委員会の加納康平実行委員長(市 議)ら役員が、祭りの安全を願い午前9時半から 浄土寺で法要。続いて江戸時代に港町尾道の基礎 を築いた名誉市民、平山角左衛門の偉業を偲んで 住吉神社で祭典を営んでからスタートした。 11時から尾道駅前の港湾緑地帯のステージで開 会セレモニーがあり、平谷市長が「2月5日に松 江市と姉妹都市を結び、今年は松江から沢山の方 が参加、花を添えて頂いている」とあいさつ。加 納実行委員長が高らかに開幕を宣言した。 「エコレンジャー」により「日本一きれいな祭 り」がPRされ、尾道市立の19幼稚園から318 人の園児が集い、「ええじゃんSANSA・がり」 を披露した。 ミス尾道の交代式があり、金沢美織さんと池島 彩さんに、賞状や記念品が手渡され、「2年間、 大好きな尾道の良さをPRしていきたい」と抱負 を述べた。 正午からは今治、松江の姉妹都市交流式典、郷 土芸能の公演があった。=写真は上から、幼稚園 児ええじゃん、ミス尾道、バンジートランポリン、 住吉神社での祭典▼松江の船を象った山車▼港湾 ビル東側でパイロットクラブのお茶席▼港湾ビル 一階で進来せい子社中の池坊いけばな展。 市役所北側には10店あまりのフリーマーケット が出店。朝10時には待ちわびた人達が訪れ、お買 い得品を熱心に探していた(29日も開催)。 市役所南側駐車場には、尾道消防のはしご車が 出動。高さを体験できるとあって10時過ぎには順 番待ちの列が。 同じく「あつまれ!ワクワクこどもひろぱ」で は、ロープを巻いて6mもジャンプできるバンジ ートランポリン(写真)、水に浮かべたボールの 中で遊ぶアクアボールなど4つの遊具が海沿いに 設置。大人でも遊びたいと声も聞こえるワクワク 感で「怖いり..でも楽しい」と子ども達も大喜び (29日も開催)。 往時のみなと祭彩った−仮装行列の復活 みなと祭も原点回帰を志向 今年のみなと祭で、仮装行列が復活した。新興 の″ええじゃんSANSAがり″によって、新時 代のみなと祭像が模索され、またそれが定着して 久しいが、ここにおいて原点を今一度見つめ直す という眼差しで、往時におけるみなと祭の代名詞 であった仮装行列に目が留められ、今に甦ったこ とは意義深い。 先日の本紙JC会報の記事で、先輩理事長から のメッセージに、「過去の営みの中に宝が眠る..」 として、過去の事業をもう一度見直し、その結果 の良し悪しを検証し、先輩達の蓄積の中から今に 活きるものを見出すことの重要性が指摘されてい るが、尾道学として尾道発掘・発信の営みに携わ る筆者も全く同感するところ。 そのJCが復興させた祇園祭・三体みこしの、 ここにおいての脱皮(再活性化)も、キーワード となったのはやはり「原点回帰」志向。 新たなものを新規に創り出すのではなく、過去 の歴史や営みの中から、この祭りの本来のあるべ き姿、これこそが祇園さんという部分を見い出し、 今に甦らせるものであった(多少の現代的解釈・ アレンジは加わってはいるが)。 元商議所事務局長で、「尾道の記録」(まちの 年譜)を書き綴って来られた故・平櫛資正さんや 往時を知る古老・長老から聞くと、みなと祭の仮 装行列はかなり豪勢で力が入っていたらしく、衣 装も京都の専門業者に発注、時代モノであれば本 物の馬も登場していたという。学校の文化祭レベ ルと思ったら大間違いのようだ(それ故に当時の 売り・目玉であった)。 本紙コラムで半田記者が、「尾道小唄」や「尾 道観光囃子」など、往時のみなと祭を彩った歌舞 音曲に触れていたが、これなども今一度見直され てもいいところではないか。事実、ええじゃん全 盛によって、正調三下り含めこうした良かりし頃 の音曲が影を潜め、忘れさられて寂しいばかり.. という声は市民の内から良く聞かれる。 ここに便乗させてもらえば、尾道学の第一発目 で採り上げた「尾道囃子」という幻のものもある。 こちらは往時以前の更に古い段階で跡形もなく 消えており、それが旧・比婆郡西城町の夏祭りで 今も踊られているというのを、元市議の山中善和 さんらと紹介させて頂いたものだが、これなども 本来の尾道へ里帰りさせ、尾道において蘇生させ てみるというのも面白いのではないか。 みなと祭の仮装行列復興が一時的なものか否か は知らないが、今後も継続されるものであれば、 それこそええじゃん方式に、一般参加型のコンテ スト形式にするのも一考できる。 仮装というと何か古くさい印象を持つやもしれ ないが、これなどオタク文化の内に見られるコス プレ(アニメ・キャラやゲームの戦国武将キャラ などに扮する趣向)そのものであり、この辺との リンクによって、新たな展開の余地が開けるのか も?… [林 良司] |