山陽日日新聞社ロゴ 2012年2月8日(水)
一番勢いあった頃の優れた作品−
 61年来訪中川一政「尾道風景」
  和作と交友、梅原龍三郎作品も
山と海の「尾道風景」中川一政作
「薔薇図」と「爪を切る」
絵付けの火鉢
 (続報)洋画家で尾道市名誉市民、小林和作
(1888〜1974年)の長女、小林年子さんから尾道
市に寄贈された4作品は次のとおり。
◆洋画家、中川一政(1893〜1991年)が描いた油
彩「尾道風景」(=写真上)。和作が日本画から
洋画に転向した直後から交友があり、和作を訪ね
て何度も尾道を訪れている。
 「尾道風景」は1961年、和作を訪ねた時に描い
た作品のうちの1点で、以来小林家が所蔵してき
た。これまでに市立美術館で特別展示したことも
ある。
 宇根元了・同館学芸員によると、「この時に2
点描いていることが和作のエッセイや敏子夫人の
話で分かっていて、もう1点は京都のコレクター
が所蔵している。言われなければ一見尾道の風景
には見えないが、中川一政に一番勢いがあった頃
の優れた作品。黒い線で骨格を描き、ラフに描い
て色を乗せている一政らしい絵」と説明する。
◆洋画家、梅原龍三郎(1888〜1986年)による油
彩「薔薇図」とパステル「爪を切る」(=写真中)。
 梅原はフランス留学中にルノワールに師事、安
井曾太郎とともに日本洋画界の頂点を極め、和作
は一政同様に交友をもっていた。
 「薔薇図」(1961年)は梅原らしい作品で、む
しろ傷んでいるが「爪を切る」(同年)の方がル
ノワール調で珍しい作品と、宇根元学芸員。
◆小林和作による絵付けの「火鉢」(=写真下)
は陶器で直径47cm、高さ31cm。高見山からと鳴滝
山からの島々の眺めが描かれており、和作が愛用
していたという。
 今回の寄贈4作品は、25日から市立美術館で開
かれる「写真のまち尾道四季展」の会場で、これ
までの小林家からの寄贈作品254点の中からピ
ックアップしたものと合わせ、市民に無料公開す
ることにしている。        [幾野伝]



ニュース・メニューへ戻る