山陽日日新聞社ロゴ 2012年1月26日(木)
近年、出店が目立つ中華料理店
 楽しみ育てたい新しい芽
店内に立つ店主
メニュー 鶏肉とニンニクの芽の炒め 蒸しパン包みは880円
 今や全国津々浦々に知られる尾道ラーメン。尾
道はラーメンの町というイメージが全国的に定着
した感もあるが、いやいやそれだけじやありませ
ん、とばかりにここ数年で中華料理店が芽を出し
始めた。昭和の時代、海岸通りに店を構えた「蓬
莱」をご記憶の読者も多かろうが、同店の店じま
い以来、なぜか尾道は中華料理不毛地帯と化して
いた。今回取材したお店の店主からも同店を懐か
しむ声とともに「是非尾道で中華を」という強い
思いも感じられた。尾道の人に中華を味わい楽し
んでもらいたい、その思いがどこまで伝えられる
か?今日から4店舗を紹介する。  [秋田完]

 「ありがとうございました」来店した客をドア
の外で見送る姿に店主の思いが込められている。
長江通りより一本東側の尾道らしい通りに、ひっ
そりと店を構える中國料理「松本」。開店したの
は10年11月、40歳までには自分のお店を持ちたか
ったという、店主40歳の誕生日2日前のこと。首
都圏などでも展開する「東天紅」で13年勤め腕を
磨き、実家のあるこの町のこの場所に隠れ家的に
ひっそりと、中華料理店らしくない佇まい。店主
は松本訓和(41)さん、「ラーメン店ばかり目立
ち、尾道に中華料理店がなかったのも理由のひと
つですが、ゆくゆくは中華の枠にとらわれずにお
客さん楽しんでもらえる料理を提供したいんです」
と話す。
 広島のホテルグランヴィアの東天紅でも腕を振
るった経験からか、店内は自らの目が届く様、広
さとレイアウトが工夫されている。エビチリ、麻
婆豆腐、酢豚と皆さんご存知の一品がやはり人気、
味わいはオーソドックスだが、中華独特の小気味
い辛さが心地よい。
 場所柄でしょうか?年配のお客さんが多いらし
い。ビール、紹興酒片手にワイワイやるお客さん
より、4人で10皿すべて違う料理なんてこともあ
るとか。それでも中華の美味しさを楽しんでもら
えるならと、格闘する毎日。まだ開店して1年ち
ょっと、今回取材した4軒でも一番お店は若い。
 舌が肥えている人が多いですね。と、松本さん
は尾道で開店してからの印象を語る。オーソドッ
クスなスタイル故に苦労も多いが、来店客の様子
を見ながらそれとなく手を加え、食感に変化をも
たせる。普通ななかに、松本さんならではの優し
さや思いやりが味の決め手。
 メニューの単価は800円から1000円程度、男
女ふたりで5皿程度は普通なら食せそう。締めの
杏仁豆腐もアッサリ系で、料理も全般にどこかし
ら懐かしいような安心感すら感じられる。
 若い人たちにも楽しんでもらえるにはどうすれ
ばよいか?当日のお薦めメニューやバリエーショ
ンの追加などをこれからの課題に挙げる。「少し
辛いものが続きましたから..こちらをどうぞ」客
の様子を見ながらの心遣いが何とも嬉しいお店。
 中國料理松本は、ランチは午前11時30分からで
値段は850円より、夜は5時30分からオーダー
ストップは午後9時、3000円からグループでの予
約も受けている。火曜日が定休日。問い合わせ・
予約は、0848・37・5777まで。

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