山陽日日新聞社ロゴ 2012年1月20日(金)
来月5日に調印式
「境港など山陰の広域観光圏も魅力」
 松江市と姉妹都市提携
  島根原発災害時の支援体制作りも
1611年築で天守が現存する松江城(国重要文化財)
城下町、堀川の遊覧船が観光の目玉
宍道湖(しんじこ)の夕景
 平谷祐宏市長は19日午前、定例の記者会見を行
い、島根県の県庁所在地、松江市との姉妹都市提
携について、来月5日に松江市で調印式を開き、
桜の木を植樹すると発表した。4月28日には尾道
側で植樹式、松江からみなと祭に参加がある。尾
道市の姉妹都市提携は、尾道大橋が開通した1968
年7月に愛媛県今治市と結んで以来、44年振りに
なる。              [幾野伝]

 尾道市と松江市は古来から、出雲街道や宍道尾
道街道で結ばれ、中国横断道尾道松江線が2014年
度に全線開通するのを見据え、「産業や観光、芸
術文化、スポーツなど幅広い分野での市民、経済
交流を進め、友好と親善を深めて地域の活性化へ
繋げたい」と姉妹都市提携を決めた。
 来月5日に松江市である調印式には、尾道から
平谷祐宏市長と檀上正光市議長、福井弘商工会議
所会頭が出席。午前11時から、松江市のJR松
江駅前にある松江テルサで、平谷市長と松浦正敬
松江市長が姉妹都市盟約書に署名・調印する。
 その後、檀上市議長おに林干城松江市議長も加
わり、同会場の1階アトリウムで両市のシンボル
ツリーである桜を記念植樹する。「天地に恵みを
与える日の光」という意味から名付けられた陽光
桜(ようこうざくら)で、早咲きで花の色が濃く
大きいのが特徴、「平和の桜」とも呼ばれる品種。
両市を紹介するコーナーも設置される。
 調印式を前に両市長と市議長、会頭は、同日か
ら松江駅一帯で開かれる食のイベント第10回「ま
つえ暖談食フェスタ」の開会式にも参加し、鏡割
りなどする。
 尾道市と松江市の交流は、同市東出雲町が第12
代横綱の陣幕九五郎の出生地で尾道が没地という
縁から、1994年に産業文化交流友好都市盟約を結
んだのが始まり。これまで双方の市民グループ
「陣幕会」が不定期で交流してきた。東出雲町が
昨年8月、松江市に編入合併され盟約が同市に引
き継がれていた。
 他にも、歴代の尾道市長が会長、松江市長が副
会長を務める中国横断自動車道尾道松江線建設促
進期成同盟会が1986年から現在まで構成され、松
江と尾道、高知の3市による「3海ルートこども
育成協議会」の交流事業も97年から続いている。
 また脚本家の高橋玄洋さんは1929年に松江で生
まれ、父親の転勤で尾道に移住してきたことで知
られる。
 「まつえ暖談食フェスタ」の松江&尾道味くら
ベコーナーには尾道から、東珍館(尾道ラーメン)
500食▽尾道焼き300食▽クニヒロ(焼き牡
嫡)500食▽JA三原市・瀬戸田(柑橘)▽尾
道ええもんや(土産品)が出店する。
 今後は、両市の芸能団体がイベントに参加、松
江北高校と尾道北高校の吹奏楽部の演奏交流、子
ども会や囲碁、サッカーなどの親善大会を支援、
行政職員の相互交流などを計画していく。
 平谷市長は、芸術文化など活発な市民交流によ
る地域活性化▽出雲・松江・尾道・今治・松山・
高知と中四国を横断する観光圏城の広域化▽ほぼ
全線が通行料無料の尾道松江線、日本海側の重要
拠点港でロシアや韓国との窓口になっている境港
を活用した山陰側との経済交流促進などが姉妹提
携の効果として期待出来ると説明。
 「松江市は鳥取との県境を越えた広域観光圏を
築いており、尾道松江道という大動脈の結節を契
機にその中に尾道も入れて頂き、交流と絆を深め
る。松江城など城下町として、尾道にない町の魅
力があり、まずはお互いの特色、良さを知ること
から始め、全線開通に備えたい」と語った。
 さらに福島第一原発の事故を受け、いざという
災害時には島根原発を抱える松江市を兄弟都市と
して、支援していく体制作りにも言及した。
【松江市】古代出雲の中心地として早くから開け、
奈良時代には国庁や国分寺が置かれた。江戸時代
には城下町として栄え、現在の歳の基礎が形成さ
れた。
 1889年、全国の38市とともに市制施行、1951年
に松江国際文化観光都市建設法が制定され、奈良
市と京都市と並んで国際文化観光都市になった。
95年に出雲・宍道湖・中海拠点都市地域に指定さ
れ、山陰の中核都巾として発展。
 2005年に八束郡の7町村と、さらに11年8月に
東出雲町と合併した。人目20万8613人。山陰地方
の中央部に位置し、尾道市や広島市から約180
km。市の木は松と桜、花は椿と牡丹、市の魚介は
しじみと鯛。
 他に姉妹都市は兵庫県宝塚市、石川県珠洲市と
結んでいる。



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