山陽日日新聞社ロゴ 2012年1月12日(木)
百島八幡神社
 次田展之医師も射手に
  市民俗文化財昨年10月指定
  新春恒例の「お弓神事」
弓を構えて並ぶ射手たち
 500年以上の歴史を刻み、昨年10月に市民俗
文化財に指定された新年恒例の「百島お弓神事」
が11日午前、百島町の百島八幡神社(二五哲彰宮
司)で営まれた。厄除けと開運を願う島民や本土
からの見学者も参拝し、射手の放つ矢の行方を見
守った。昨年春、島内で診療所を開業した次田展
之医師も射手として参加した。   [幾野伝]

 神社総代会と百島お弓神事保存会(藤田一郎会
長)の主催で、はじめに拝殿で二五宮司により神
事が営まれ、昨年春に百島診療所を再開させた次
田展之医師も射手の1人として参列。
 町内の福田、本村、泊の3地区から選ばれた住
民や出身者の男性16人が裃と袴姿で整列。奉納さ
れていた弓矢を受け取って、師範代の旗手孝文さ
んから基礎的な所作の手ほどきを受けて、本番に
のぞんだ(=写真上)。
 15m離れた直径60cmほどの的を目掛け、大太鼓
の音を合図にそれぞれ30本の矢を射っていった。
百島小学校の児童らも見学に訪れ、的に命中する
たびに、拍手と歓声がわいた。
 百島のお弓神事は1441(嘉吉元)年、嘉吉の乱
で足利軍に敗れた赤松満祐の一族が百島に流れ着
き、追っ手の襲来に備えて弓を稽古したのが始ま
りとされる。現在は島内をあげて無病息災や家内、
海上の安全などを願う伝統の神事として継承され
ている。
 水軍が活躍した芸予諸島を中心に広島、愛媛、
香川県の島しよ部と沿岸部にお弓神事は濃密に分
布。呉市豊浜町、福山市鞆町、沼隈町能登原など
の神社にもあるが、15〜16人が射手となる大規模
なものは百島だけという。



ニュース・メニューへ戻る