山陽日日新聞社ロゴ 2011年5月10日(火)
土本さんが協力
ライフワーク、地元宇立地区の郷土史の編集に
 「さびしんぼう」の今昔探訪
  
季刊誌「荷風!」東京発・大人の一泊二日
「荷風!」表紙と記事
 ″その町の昔と今を時間旅行する″をテーマに
発行されている季刊誌「荷風!」(日本文芸社)
第28号が4月下旬に発刊され、特別編として大林
宣彦監督の「さびしんぼう」今昔探訪が掲載され
ている。郷土写真家、土本寿美さん=写真=が取
材と昔の写真を提供し協力している。
 「東京発・大人の一泊二目最終回(特別編)
″尾道映画″の今を旅する〜『さびしんぼう』の
いた風景は?」と題し特別企画として6ページに
わたり掲載されている。
 大林監督自身の自伝的要素が強いとされ、ファ
ンの間でも根強い人気を誇る尾道三部作の「さび
しんぼう」に焦点をあて、ペンネーム・はやぶさ
つぼめ氏が作品の舞台となった昭和60年当時と現
在の町を対比し、尾道の町の歴史にふれながら町
歩きをしていく様子を綴っている。
 福山で新幹線から在来線に乗り継ぎ、林芙美子
の「海が見えた 海が見える」と有名な車窓から
眺めた尾道水道、尾道駅前、千光寺公園や坂の街
と猫、「さびしんぼう」の主人公たちの下校道の
路地、旧和泉邸別宅「ガウディハウス」、メイン
の撮影場所となった西願寺、「さびしんぼう」の
中で頻繁に登場する福本渡船や今はなくなった雁
木、向島から見た尾道の風景と今昔を対比してい
る。
 それと向島の製塩業や造船、第二次世界大戦中、
英国兵などの捕虜収容所だった、産業遺産に登録
されている向島紡績にも触れている。
 土本さんは編者、はやぶさつぼめ氏と昨年12月、
尾道市内と向島兼吉商店街周辺を散策し、取材に
協力した。また昭和39年当時の尾道駅前の風景、
昭和27年の人力車が通っていた久保本通りや梶田
時計店前、昭和32年の「一円ポッポ船」など貴重
写真7枚を提供、現代の風景と重ね合わせ、移り
変わりを対比させている。
 届いた本を手にした土本さんは「尾道のイメー
ジを上手くつかみ、それを伝える着眼点はさすが
です。読んで尾道の雰開気が読者に伝わるように
上手に表現しています」と読後感を述べていた。
 季刊誌「荷風!」は作家、永井荷風にちなみ名
付けられ、荷風が明治から昭和を生きた散歩者で
あり、変化し続ける町に対する郷愁を抱いていか
ことに基づいたもので、主に東京の町の奥深い歴
史的なものを踏まえた町歩きのためのガイド誌。
特別企画としての東京発・大人の一泊二日で尾道
が取り上げられた。年4回発行、3万部発行して
いる。
 市内の書店では取扱っておらず、書店で注文す
るか、直接、日本文芸社(03・3294・89
44)まで申し込みこと。
 写真を通し「尾道の生き字引」の土本さんはこ
れまで合併を記念して「ふるさと尾道・向島・御
調60年間の写真記録」、「ふるさといまむかし−
カメラと歩んだ戦後60年」を刊行している。
 「3冊目としてライフワークとして取り組んで
いる地元、宇立地区の歴史や祭事や時事などまと
めた郷土誌を編集したい」と80才の半ばを超えて
も意気盛んで情熱は衰えていない。



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