山陽日日新聞社ロゴ 2011年5月3日(火)
故・前田六二氏監修
廃線から47年..オノテツの雄姿を記録に留める
 オノテツ完全本リリース
  
証言採集で沿線住民の声盛り込む
表紙
付録のペーパークラフト
 廃線の時から早半世紀を迎えようとし、市民の
記憶から遠のきつつある″オノテツ″こと尾道鉄
道−。山陰と山陽を繋ぐ連絡鉄道という、まさに
今日の中国横断自動車道尾道松江線とも重なる壮
大な構想(夢)の下に走り出した尾道鉄道の記憶
を後世に伝え遺そうと、尾道学研究会(天野安治
会長)では、元運転士で研究会会員だった前田六
二さん(昨秋急逝)監修のもとに資料集としてま
とめ出版、このほど市内書店で販売を開始した。
 『タイムスリップ・レール・オノテツ−尾道鉄
道データ・ファイルー』と題した同書は、A4版
フルカラー160ページ。
 内容を目次から拾うと以下の通り。
 沿線案内図▽オノテツ寫真舘▽尾道鉄道の歴史
概説(林良司)▽オノテツ・ミユージアム〜尾道
鉄道の遺品たち〜▽沿線遺構を辿る(山中仁)。
 オノテツ・データ・ファイル(浦谷典功)1.車
輌、2.停車場の変遷、3.車輌諸元表、4.車輌一覧、
5.計画、6.尾道軽便鉄道(計画)と尾道鉄道の比
較。
 ▽オノテツ各論.. I『産業考古学からみた尾道
鉄道』八幡浩二、II尾道鉄道開業前夜 物流変革
期の尾道』浦田慎、 III『一寸まて でんしゃは
こぬか』林良司。
 ▽オノテツの思ひ出▽オノテツ記事スクラップ
帖▽尾道鉄道年譜(年表)▽尾道鉄道図書リスト。
 ▽採録『消えた鐵路尾道鐵道』前田六二編著
(主体部分を採録)。
 豊富な記録写真から歴史に遺品(遺された資料)
・遺構(沿線に遣る痕跡)、各種データ、角度を
変えての各論アプローチ、そして市民から寄せら
れたエピソード。資料編ともいえる当時の新聞か
らピックアップされたオノテツ記事、鉄道史学会
会員の長船友則さん作成になる年譜、図書リスト
と、「この一冊でオノテツの全てがほぼ網羅出来
るものに..」というコンセプト通り、かなりの充
実度となっている。
 加えて前田さんの先達本(非売品、入手不可)
も盛り込まれており、この上無しのまさに完全本
といった感がある。
 よい子のオマケとして、尾道鉄道デキ11型の
ペーパークラフトが1枚付いており、お子様でも
組み立てられるようにと作り易いレベルになって
いる。
 出版に寄せて天野会長は、「3年前の文化館で
のオノテツ展が大きな反響・関心を呼び、その折
に新たな資料の発掘も見られた。それら成果を盛
り込んで、一冊の資料集にまとめる事が課題とな
っていたが、ここにおいてようやくそれを果たす
事が出来た。
 監修に立って頂いた前田さんに、本書の完成を
見届けて頂けなかったのは残念でならず、果たし
て前田さんの眼に適うものになったかどうか、自
信はないが、制作メンバーはそれぞれ最善を尽く
したつもりである。
 前田さんから直接ご指導頂けなかった分、鉄道
史研究の権威、長船友則さんのご指導・ご教示を
仰ぎ、大過なく纏める事が出来たと思っている。
 また、本書の出版にあたっては、尾道市市民提
案事業として尾道市からの助成を頂き、お陰で尾
道市の近代史の重要な一環を明らかにし、それを
記録として残すことが出来た。市当局の文化に対
する深い理解に敬意と感謝の意を表したい。
 尾道学研究会による出版物は本書で4冊目とな
った。幸い何れも好評をもって迎えられ、意を強
くしている。今後とも出版に力を入れ、研究成果
を残し、市民の財産として行くつもりである。御
指導、御鞭捷をお願いしたい」と述べている。
 定価(税込)¥1890円。市内周辺での取扱い先
は次の通り。
 啓文社各店(東部・・コア福山西店、旧市街・
福屋ブックセンター、西部・新浜店、向島・天満
屋ハピータウン店、その他支店)▽本通り商店街
界隈=花本書店、三阪商店▽栗原方面=ゆきひろ
メイト2階カムカム。
 郵送は研究会事務局で対応する(送料別途)。

通販は啓文社の楽天ショップでも。

尾道学研究会の事務局の問い合わせ先は
公式ページの「お問い合わせ」から



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