2011年1月14日(金) 尾道鉄道資料集出版に向けて 4号トンネルを実測調査 産業考古学の視点からアプローチ |
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尾道−御調(市)を結ぶ幹線的交通網として、大 正14年10月(1925)に開通(全通は昭和8年)、 昭和39年(1964)8月に廃線となった″オノテツ″ こと尾道鉄道を語り伝える資料集の制作が目下、 尾道学研究会(天野安治会長)同編纂チームの手 によって急ピッチで進められているが、その内の 一項目となる「産業考古学から見た尾道鉄道」編 の現地調査が、木ノ庄町畑、184号線沿いに遣 る第4号トンネルにて実施された。 尾道鉄道沿線に見られたトンネル(隨道)は1 号から8号までで、1、5、6号は国道の拡幅工 事によって消失、2号、3号は歩道トンネル、切 り通しに姿を変え、7、8号は拡幅の後、畑・諸 原トンネルとして一新されている。残る4号トン ネルのみが往時の面影を留めており、以前、市議 会でも遺産として保存すべきではないかとの声が 上がった事がある。また、県教委による『広島県 の近代化遺産』へ記載はされているものの、登録 有形文化財などには未指定で本格的な調査は未だ 行われていなかった。 研究会監事で考古学者の八幡浩二さんが調査主 体となり、図面の作成を尾道大4年の坂本実央さ ん(研究会デザインワーク担当)が担当、資料集 のデータ・ファイル編を担当する浦谷典功さんと、 編集統括の林良司さんが立ち会った。 調査は、トンネルの高さや幅、奥行き、積まれ たレンガなどの形状が実測され、その計測の下に 図面が起こされていく作業で、時折小雨がちらつ く中を、細かいところまで時間をかけて行われた。 担当した八幡さんは、「これまでにこういった 計測資料が出ているのか色々当たってみましたが、 確認した範囲では皆無であり、トンネル前に立て られた案内板にすらそうした情報が見られません でした。そういう意味でも今回の調査は資料的に 有益なものになったと思います」と感想を述べて いた。 図面作成に挑んだ坂本さんは、「全く初めての 試みでしたが、楽しく取り組ませてもらいました。 いい勉強になったと思います」と作成途中の図面 に見入っていた。因みに坂本さんは、デザインコ ースの活性化企画で、尾道鉄道のペーパー・クラ フトを制作した経過があり、以来オノテツに着目 し続けており、今回の資料集では装丁も担当する 事になっている。 今回の出版事業ではチームワーク制を採用して おり、7人のメンバーが、歴史概説、沿線遺構、 データ、寄稿、デザインなどに分業して取り組ん でいる。監修者には、昨秋急逝された元尾道鉄道 運転士の前田六二さんがそのまま名を連ねており、 前田さんの労作で既に入手不可能の『消えた鉄路・ 尾道鉄道』も一部再録される。 同資料集は今春に出版予定で、平成22年度尾道 市市民提案事業の助成事業(尾道学研究会による 3か年事業の最終年度)となっている。 |