2010年9月23日(木)
吉田さん方言指導
 尾道映画『あの、夏の日〜』の思い出
  小林桂樹さん温厚な人柄
   山崎太一郎さん刀剣扱い指南を
刀剣の扱いを習う小林さん
方言の指導を受ける小林さん
 (続報)大林宣彦監督の映画『あの、夏の日〜
とんでろじいちゃん』で1998年夏、尾道での全編
撮影のためこの町に滞在した俳優、小林桂樹さん
(享年86歳)。当時撮影に関わった人達から、当
時の思い出を語って戴いた。    [幾野伝]
 尾道に暮らすおじいちゃんと都会から来た孫が
夏休みを一緒に過ごすこの物語で、小林桂樹さん
が演じたのは、学校の元校長(大井賢司郎役)。
日本の伝統家屋(屋内は御調町の民家と東土堂町、
旧福井邸で撮影)に住み、古くからの威厳を保ち
ながらも少し「呆けて」いるという、真面目な上
にでも少し笑えるという役柄だった。
 書院の床の間を背に、小林さんが刀剣の手入れ
をしているというシリアスなシーンがあり、その
扱い方を指南したのが土堂一丁目、山崎清春商店
の山崎太一郎さん(72)だった。
 大林監督の作品で、現場指導は『日本殉情伝お
かしなふたり』に続き2回目だった山崎さんが、
小道具としての居合刀を用意し、ロケ現場の小川
邸に持参。持ち方から抜き方、置き方までの所作
を一つひとつ説明し、実演しながら雰囲気作りに
協力した(=写真上)。
 当時の本紙報道によると、20分ほどの説明に
続いて練習があり、山崎さんは本番撮影が終わる
まで立ち会った。
 現在もその時に使った居合刀を大切に保存して
いる山崎さんは「小林さんが1回の説明ですぐに
所作を覚えられ、のみ込みが早くて驚いたことを
覚えています。世間話もしましたがとても真面目
で、穏やかな人柄でした」と当時を振り返る。
 尾道スタッフとして、小林さんと夫婦役の菅井
きんさんら全出演者に方言指導した吉田多美重さ
ん(=写真中)は次のように語っている。
 「小林さんにとって初めての『尾道弁』。アク
セントや言い回しに戸惑われたことと思いますが、
本番でのセリフは素晴らしく、まるで本当にこの
町で生まれ育った人のようでした。
 背筋をピンと伸ばし、かくしゃくとしたお姿や、
温かいお人柄、ユーモアたっぷりのお話ぶりが、
今も懐かしく思い出されます」。

尾道大林組の大谷治さん−
 若者、桂樹さん追い映画界へ
     
小林桂樹さんと新井聡さん
 1998年の夏、尾道市制施行100周年やしまなみ
海道の全線開通を目前にし、尾道市全体が湧き上
がっていた。その時期、大林宣彦監督作品、映画
『あの、夏の日 とんでろじいちゃん』のロケが
尾道で行われた。
 その準備でロケハンをしていた頃、「主演は何
方だと思う?最初は『コ』がつく人..」。プロデ
ューサーの大林恭子さんは、本当に嬉しそうに私
にクイズを出した。当たる訳も無いが、「コバヤ
シケイジュさん。でももう少し内緒よ」と言われ
た。
 小林桂樹さんを尾道に迎えるに当たり、制作担
当の飯田康之さんが今までに無くピリピリしてい
たことを思い出します。
 でもお会いすると、どこまでも「普通のおじい
ちゃん」。本当に自分をわきまえ、役者に徹し、
大きな大きな包容力を持って接して下さいました。
妹さんでマネージャーの戸田さんといつも一緒で
した。
 もくもくと千光寺山への石段を上がる姿を、子
役だった宮崎あおいちゃんやスタッフ全員が見守
りました。
 大林監督の作品を通して、日本でも指折りの文
化人、アーティストとお会いすることができ、大
物と呼ばれる方のお世話もさせて頂きましたが、
ここまで謙虚な演技者を私は知りません。今でも
桂樹さんは私たちの誇りです。
 いつまでも尾道の空で飛んで私たちを見守って
いてください。合掌
=写真は1998年8月、小林桂樹さんと当時の「茶
房こもん」の若き従業員、新井聡さん。彼はその
後桂樹さんに感動し、追いかけるように上京した。
今では映画の業界で活躍している。



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