2010年9月9日(木)
「戦時下ノ尾道」(上・下巻)の販売始まる
 昭和16年あの築出町内会の地図も
  啓文社の手塚会長「文化都市の真価が問われる」と
築出町地図
地図凡例
 尾道学研究会(天野安治会長)の労作「戦時下
ノ尾道」上下巻(本体価格4000円)の販売が市内
の啓文社、花本書店で始まった。天野会長らはこ
れを前に7日(火)午後3時に市長室に平谷市長
を訪ね、上・下巻セットを贈呈し、市民提案事業
に採択されたことで、同研究会と回廊組の日下廣
さんの永年の夢が結実した報告と謝意を述べた。
 これに先立ち、8月末に啓文社を訪ねて、手塚
弘三会長らに原本の披露と販売についての協力方
などをお願いした。
 手塚会長は早速、本を手に取り天野会長に何度
も質問。「築出町内会」の地図が載っているのを
目ざとく見つけ「これは福島さん(福利物産の光
宏社長)が復元した築出町内会ではありませんか?。
これが残っていたことを福島さんはもう知ってい
ますか?」と天野会長に尋ねていた。
 同席した本紙記者が「とっておきのビッグニュ
ースなので、販売が始まる時に紙上で紹介しよう
と思っています」と話した。
 手塚淳三社長にとっては、見るもの聞くこと全
てが目新しいことばかりで、会長に負けじと戦時
中の尾道や昔の尾道について矢継ぎ早に質問をし
ていた。
 手塚弘三会長は「先般の古い絵はがきの写真集
も大変、貴重なもの(出版)で、じっくりと見さ
せてもらったが、啓文社としては残念なことだが、
多くが(かってのライバルの)北辰社が発行元に
なっていた。
 当時は啓文社が北辰社の足元にも及ばなかった
ことがよく分かるが、我々の仕事というのがこう
いう(地元的な)文化にどう関わっていくか、が
改めて問い直されていると痛感した」と述懐。
 「これだけ大変、ご苦労されたことに対し我々
としては出来る限りの協力をしたい」と述べ、記
者に対して「この本が売れないようでは、尾道は
文化都市の看板を降ろさなければならない」と協
力を惜しまない決意を披瀝し、天野会長を感激さ
せた。

空襲による火事などに備え
 いざという時の「地図」を
  「極秘」の文字がいかにもらしい
 掲載している写真が「築出隣保班要図」で、上
巻の237ページに載っている。
 見開きの右側236ページにこの「原版」が掲
載されているが、印刷されたものが″原形″をと
どめず、ほぼ判読不能な状態にあることが一目で
分かる。
 この″原版″を天野会長がルーペを使って再現
されたことが分かり、さらに全く同じものが上巻
の巻頭部分にあたる「貴重な資料」の抜粋の中に
も掲載されている。この一事をもって、この資料
の価値の高さを知ることができる。
 天野会長の説明によると、昭和16年8月30
日付けの尾道市警防団中分団長、澤田儀助名の各
町内会長・隣保班長宛て回覧文書。
 1.燈火管制器具整備ニ関スル件▽2.防空設備資
材整備強化二関スル件▽3.残置燈新設二関スル件
に続く、4.隣保班要図作成依頼二関スル件がこれ
に該当する。
 分団出動計画を樹立するために必要な隣保班要
図を作成し提出するよう、(記入)用紙を3枚を
添えておくとし、9月5日に管制器具の調査のた
め(中分団が)参上するまでに作成するよう注意
書きをしている。
 隣保班要図を各隣保班で作成するにあたって、
この築出隣保班要図を見てこれを参考に作成・記
入してほしいというもの。
 昭和16年当時の「築出町内会」の様子を詳細
に記入しており、これと4面に再掲載している、
これまた労作の「復元図」を比較すると、お互い
の『資料的な価値』がより高まってくるといえる
のではないだろうか。

(復元図に関しては転載しませんので出版された本をご覧下さい)



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