2010年6月24日(木)
浄土寺の大修理
 解体しながら歴史・技術的調査
  庫裏・客殿と宝庫で工事始まる
足場を組んだ工事の様子
全体の平面図
 2008年1月から、「平成の大修理」が行わ
れている東久保町、真言宗浄土寺(小林暢善住職)
で、今年度と来年度、工事が最大の山場を迎える。
境内では規模が最大の建造物で、国重要文化財の
「庫裏・客殿」と「宝庫」を一度解体し、再び元
の姿に組み上げていく保存修理で、最終年度の
2013年9月まで続いていく。    [幾野伝]

 平成の大修理は茶室「露滴庵」と「方丈」が昨
年度末に完了し、4月からは「庫裏・客殿」と
「宝庫」の工事に移っている。
 1719(享保4)年に再建された「庫裏」は桁行
16m、梁間12m、切妻造り、本瓦葺きで東を向く。
正面に玄関、背面に張出が附属する。北側面の
前端と後端には、中庭を囲むように折れ曲がる
「客殿」が接続し、前方部が客室部、後方部が
居室部。客殿に接する「宝庫」は1759(宝暦9)
年の建立。
 今年度は、全・半解体する建物を工事期間中、
風雨から守るために、全体をすっぽり覆うスチ
ール製の素屋根の設置から取り掛かっている
(=写真)。素屋根は31×27m、高さ18mと巨大
で、市街地からも徐々に組み上がっていくその形
状が見えるほど。
 来月から建具や畳、内装などの移動と解体から
始まり、9月には屋根と造作、12月に小屋組、来
年1月には壁と床板、さらに軸部へと解体が進ん
でいく。同時に再利用する屋根瓦の選別と清掃、
壁土の作成、古材の繕いなども行われる。
 下の概要図のとおり、玄関や使者の間、宝庫な
どは全解体、残り部分の大半は屋根瓦や野地板、
床組、縁の解体、壁補修など半解体する。
 解体には全て「調査」が加わり、建物や部材に
隠された歴史的・技術的な解明も保存修理の大き
な目的になっている。
 10年度の事業費は1億4919万円で、国が70
%、県と市が10%ずつ補助し、浄土寺が10%を負
担する。引き続いて施工は地元の葉名組で、設計・
監理は(財文化財建造物保存技術協会(東京)が
請け負っている。
 今年度は解体と調査のみで、元の姿への組み上
げは来年度以降の工事となる。工事現場の一般公
開も検討されている。
 平成の大修理は当初、5年計画だったが、文化
庁から耐震補強の指導などがあることから、2年
延長することが決まっており、総予算も現在のと
ころ5億7900万円まで増えている。



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