2010年5月11日(火)
「尾道薪能」
節目65年親子孫の共演果たす
 静かで優雅な雰囲気800人楽しむ
能楽三代
幽玄な舞
 尾道の初夏の伝統行事になっている第十九回
「尾道薪能」が八日夜、東久保町、真言宗浄土寺
で開かれ、国重要文化財の阿弥陀堂を舞台に800人
が幽玄な世界を堪能した。
 主催する尾道足利氏ゆかりの会の村上隆会長が
「皆様の理解と協力があってこそ、19年間続けて
こられた」と礼を述べ、実行委員会の堀田克介委
員長は「仕舞『鞍馬天狗』を演じられる井上裕久
師は吉田潔司・篤史の両先生が学ぱれた井上家の
第十代当主になられる方」と演者を紹介。
 シテ方観世流準職分の篤史さん(36)が「ユネ
スコの世界無形文化遺産にも登録されている能は、
650年前の古典芸能なので、今の私達が使わな
くなった、理解不能な言葉を使っている。だから
あまり言葉に惑わされないで、日が暮れていく中
での全体の雰囲気を五感で感じながら、静かで優
雅な舞を楽しんで下さい」とあいさつした。
 あたりが暗くなり掛けた六時半、平谷祐宏市長
ら来賓によって舞台袖のかがり火が灯され、篤史
さんの長男和史ちゃん(三つ)が仕舞「老松」で
初舞台を踏んだ(=写真上)。
 狂言「盆山」を茂山良暢さん、源氏物語を原作
にする能「半蔀」(はじとみ)では、篤史さんの
父でシテ方観世流準職分、重要無形文化財能楽総
合指定保持者の吉田潔司さん(六八)が、夕顔の
光源氏への淡い恋心をしっとりと演じた(=写真
下)。
 終演後、篤史さんは「尾道に稽古場が出来て65
年という節目の年に、親子と孫三代そろって出演
できたことはとても嬉しく、有難く思っています」
と話していた。
                  [幾野伝]



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