2010年3月30日(火)
国宝の浄土寺
 旧材の再利用で後世へ
  国の重文「露滴庵」「方丈」の修理報告会
浄土寺方丈
 東久保町、真言宗浄土寺(小林暢善住職)で、
2008年1月から行われていた国重要文化財の茶室
「露滴庵」と「方丈」の保存修理事業が終わり、
このほど関係者への報告会が開かれた。新年度に
は「客殿・庫裡」に修理工事が移り、その後「宝
庫」「唐門」「山門」と2013年9月まで続いてい
く。               [幾野伝]

 初めに重要文化財浄土寺建造物修理委員会(橋
本宗利委員長)が開かれ、小林住職が「この節目
を契機に、新たな気持ちと覚悟を感じている。平
成の大修理を完遂するよう努力したい」とあいさ
つ。
 来賓の平谷祐宏市長は「建築家の隈研吾さんは、
20世紀はコンクリートの時代だったが、21世
紀は石と木、竹など自然の物を使い環境の時代に
合わせた建築様式になっていくと言われており、
歴史的建造物を直し、文化財を保護し、後世に伝
えることはその基本であり、大きな役割りとなる」
と語った。
 橋本委員長は「露滴庵と方丈の完成で、第一ス
テージまできた感じ。いよいよ客殿・庫裡の第二
ステージが本番となる」と更なる協力を呼び掛け
た。
 設計・監理を行っている文化財建造物保存技術
協会の小林純夫工事事務所長が、茅葺き屋根の葺
き替えや排水を整備した「露滴庵」(工事費1001
万円)、屋根瓦や壁を一度落とし半解体修理した
「方丈」(同2億1779万円)について、写真を使
いながら工事の経過を説明。
 特に北面の上層部が雨漏りし、傷みがひどかっ
た方丈でも、屋根の本瓦やその下の野地板、垂木、
床下の根太や大引きなどは元からあるものを出来
るだけ再利用した。
 最大で6cm沈下していた柱もあり、束石との間
に鉛の板を挟むなどして、北側に傾いていた建物
全体のゆがみを立て直した。
 さらに文化庁の指導もあり、震度5の揺れにも
耐えられるように床下に鉄骨の補強材を入れた。
これは旧材を傷つけないために、新材で旧材を挟
み込む形で施工していったという。
 小林所長は「新しい材で修理すると楽だが、そ
れでは古い物や技術は残らないですから−」と工
事全体に込めている考えを述べていた。
 この日、工事のために移動していた本尊の釈迦
如来像を遷座、関係者への報告会も開かれ、色直
しした「方丈」の扁額を元の建物正面に戻した。
 今回の修理で「方丈」の棟札が発見されたこと
で、元禄3年に橋本家が施主となって再建したこ
とが再確認され、扁額を元禄6年に富嶋家が寄進
したことが裏面の記録から判明した。



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