2010年3月28日(日)
93年前の地元紙
あの大田貞男さんが工事現場の廃品から
 幻の「尾福日報」見つかる
  明治から大正「黄陽新聞」と共に本紙のルーツ
尾福日報紙面
 2年前の本紙の創刊記念日にあたる5月10日付
けで、山陽日日新聞を中心にした「尾道新聞史年
表」を報道した。その中で、尾道の新聞の流れは
大きく2つあり、1つは本紙の起源である明治31
年5月10日創刊の「黄陽新聞」と、もう1つ明治
37年に「尾道実業新聞」と福山の「山陽朝報」が
合併し改題された「尾福日報」の2つがあり、こ
の2つの流れが大正12年から14年にかけての地元
新聞業界の″再編″の動きの中で″合流″し、
「大正14年7月に山陽日日新聞に改題」(尾道市
史)とされている。同年表の明治37年から大正7
年(1918年)にかけて何度となく登場する「尾福
日報」だが、まだその現物を手にしたことがこれ
までなかったが、このほど市内の古民家の改築工
事で大正6年1月11日発行の4543号がほぼ完全な
保存状態で発見された。これまで尾道および本紙
では「幻(まぼろし)」とされていた「尾福日報」
が″発掘″されたのは、長江と栗原の境界にあた
る世計橋近くの家屋改築工事現場。古い書籍や新
聞類が廃品扱いで山積みされていたが、本紙の新
年号で紹介した「支那事変と無敵皇軍」の戦時ア
ルバムを見つけた大田貞男さん(大田建築設計事
務所)が奇しくもこの工事を担当したことから
「廃品として処分される前に尾道学研究会へ..」
と前回同様、同会理事の鈴山秀哉さん(ととあん)
ヘー式を届けられ、研究会で仕分けをしたところ、
「大阪毎日新聞」「大阪朝日新聞」「中国新聞」
など、いずれも大正時代の前半に発行された新聞
などと一緒に、大正6年1月11日付けの「尾福日
報」(大版、4ページ、現在の大手紙と同じ大き
さ)の一部がほぼ完全な保存状態で発見されたも
の。
 その概要は次の通り。
 ◎..大正六年一月十一日 尾福日報 木曜日第
四千五百四十三号 本紙毎号四頁。
 ◎..日曜日 大祭日翌日 休刊。
 ◎..本紙定価 一部二銭 一箇月前金廿八銭
郵■十三銭 二箇月前金八十二銭 六箇月前金一
圓六十銭。
 ◎..広告料 特別広告五号活字一行五十銭普通
全上卅五銭。
 ◎..発行所 尾道市十四日町八五番地 尾福日
報社 長電話一八番。
 ◎..発行兼編集兼印刷人 細間トミ。
 ◎..支局・・福山、鞆町、三原町、府中町、宇
づと、上下町、吉舎町、三次町、庄原町、三良坂、
市村、大坂市。

尾道新聞史年表に何度も登場
 記載の事実関係を裏付け
  大正六年の「中国新聞」も四部
 山陽日日新聞創刊110周年の2年前の5月10
日付けで、本紙4面に「尾道新聞史年表〜山陽日
日新聞を中心に」を掲載した。
 同年表の中で、明治37年に「尾福日報」が前
述のように初めて登場(市史)し、翌37年には
「尾福日報」から別れた「備後時事新報」が創刊
(市史)され、大正3年には「吉備公論」の創刊
と続く。
 この「備後時事新報」の流れを汲むのが、戦後
復刊された「備南合同新聞」(後に瀬戸内海新聞)
で、「吉備公論」が戦後の「三都新聞」の前身に
なっており、戦後間なしから地方の十万都市では
極めて珍しい「地元三紙」時代が経営者や題字は
変遷しながらも平成5年3月まで続いた。
 「尾福日報」は年表では、大正4年12月31日現
在で「経営者が細間トミ氏」と「広島県統計書」
に記載され、3年後の7年12月31日現在では、同
統計書に「経営者は中山幾太郎氏」に変わってい
るが、今回発見された大正6年1月11日付けでは
「経営者は細間トミ」となっており、甲表および
統計書の記載が正しいことが証明されたことにな
る。
 本紙との関係でいえば、尾福日報を経営してい
た中山幾太郎氏から大正12年頃、秋田熊次郎に経
営権が移り、昭和2年11月の山陽日日新聞社の株
式会社への改組時に「折しも創刊30周年の年」と
社告で謳っている(明治31年5月10日創刊の黄陽
新聞を継承している)ことから、山陽日日新聞が
大正14年7月(市史)までに、黄陽新聞と尾福日
報の地元2紙の継承紙となり、昭和16年10月の
「一県一紙条例」による強制廃刊、中国新聞への
強制合併まで存在したことになる。
 「尾福日報」は、この年表でも明治37年から大
正7年までの間、何度も登場しているが、その現
物を入手したのは今回が初めてで、それだけに今
回の発掘の意義は「尾道の新聞史」にとって非常
に大きく意義深いといえる。
 なお、中国新聞については大正6年の1月〜3
月期発行の8ページ建てで、完全な保存状態で4
部が見つかり、「備後版」で尾道関連の貴重な記
事がいくつか見つかっている。   〜以下略〜

「尾道学研究会」の研究内容に関しては
公式ページ、デジタルアーカイブ等
ご覧下さい



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