2010年2月28日(日)
マッチで辿る名店今昔
小西始夫マッチラベル・コレクション
 広告マッチラベルの美
  今にも通用するデザインの秀逸
マッチラベルマッチラベル
マッチラベルマッチラベル
 ガラス乾板、憲政の神様(尾崎咢堂)に続き、
またまた面白いものが尾道学へ舞い込んで来た。
お次はマッチ、である。火を灯すマッチが尾道学
??と怪冴な顔をされるやもしれないが、マッチ
箱を彩るラベル(パッケージ)が本題となるとこ
ろで、現役として頑張っておられるアノ店、今は
もう記憶の中だけとなったコノ店、昭和20年代か
ら60年代頃にかけての尾道のお店から出されたマ
ッチーラベル(広告マッチ)が、コレクションさ
れた形(まとまった状態)で掘り起こされたので
ある。
 お寄せ下さったのは尾道学研究会メンバーの小
西理文さんで、小西さんの尊父で市議会議員も歴
任された小西始夫(もとお)氏が長年に亘って収
集され、計8冊のアルバムに、東京・京阪神を中
心とした各地のマッチーラベルが、綺麗にスクラ
ップされている。
 アルバム毎に、収集した大まかな年代が記入さ
れ、最古が大正14年(1925)、最新が昭和60年代
となっており、尾道モノも含め、全体的に昭和20
〜30年代のものが多い。
 尾道モノを整理分類して見ると、業種では●喫
茶店●バー・クラブ●食堂・レストラン等飲食店
●旅館・ホテル●酒屋・酒造●銀行●パチンコ等
娯楽施設●洋品店●その他となり、最も数が多い
のが喫茶店で、21店舗59種が確認された(必然的
に飲食関係が主)。
 喫茶の内、種類(ラベルのバリエーション)の
多い順に店名を列記してみると、▽音楽茶房孔雀
荘(=1番上)▽純喫茶ボン(駅前)▽名曲と喫茶
田園(千光寺下国道筋)▽純喫茶メキシコ(国道
筋)▽TeaRoomおのせん(中央街)▽純音
楽茶房琥珀(千日前)▽音楽茶房フヂヤ(玉栄館
西)▽珈琲を愉しむ店・ケーキはまや(中央街)
▽洋酒喫茶ますや▽かどよし(本局前)▽純喫茶
モナミ▽喫茶と洋酒レインボー(駅前)▽純喫茶
ロマン(駅東)▽甘党の店十二ヶ月(今蔵小路)
▽純喫茶銀(電報局西)。
 その他目に留まる所を拾って見ると、バー・ク
ラブでは舶来居酒屋・暁(=写真左下・キャッチ
コピーがこれまたイイ)、食堂・レストランでは
グリルあかね(=上から2番目)、グリル展望、
うろこ・かき船(=上から4番目)、旅館・ホテ
ルでは竹村家(=上から3番目)、西山本館・別
館(1番下)、紫潮(上から5番目)、山城戸荘、
銀行では、住友銀行、広島銀行、協和銀行、富士
銀行などが見える。
 イベント広告モノでは、尾道みなと祭(=中段
は昭和32年の回)に菊人形(中段)が数種確認さ
れ、一点モノでは第1回産業まつり・誓文払大売
出し(中段)がある。
 その他の内には、″オノテツ″こと尾道鉄道に
よる観光バスの広告マッチが3種あり、こちらは
別途オノテツ・モノ(関連資料)として取り扱う
必要がありそうだ。
 尾道学的視点(尾道の広告マッチ)のみならず、
全般的に大きく惹かれるところが、ラベル・デザ
インの美である。
 僅か35×55ミリ程のラベルの中に描き出される
意匠はどれも秀逸で、とりわけ時代の古いものに
なればなるほどその味わいに深みが増す。レトロ
感覚からの良さはもとより、そのデザイン・セン
スは現代にも十分通用し得るものがあり、マッチ
ラベルがコレクターズ・アイテムになっているの
も大いに頷ける(関連図書も出ているらしい)。
 また、キャッチ・コピーにも唸らせるものが多
々あり、尾道モノでは【暁】のそれはA級品。こ
れと同種モノ(尾道外)で、【證明書 旦那様は
今日は手前の店へお越し下さいました 女ヌキの
實費の店 年中季節の珍味を揃へてお待ちして居
ります 奥様と旦那様御同伴お子さま連れでお越
し下さいませ お待ち申して居り升 鉄橋楼主人
 奥方様」(写真下段右)というのには舌を巻い
た。
 NHK教育の三つ星番組「鑑賞マニュアル 美
の壷」的に、美術的・デザイン的、コピー的に、
じっくり堪能・鑑賞したいものが、このマッチラ
ベルの世界にある。
 尾道学研究会では、尾道モノは勿論の事、尾道
外にあっても資料的(時代的)・デザイン的に良
いものを含めて、絵葉書同様デジタル・アーカイ
ブ化に着手しており、「小西始夫マッチラベル・
コレクション」として、デジタル保存と共に展示
等での公開を今後検討していきたいと思う。

小さなアート
マッチーラベルの世界
 日本燐寸(マッチ)工業会の資料によって見る
と、マッチ・ラペルは【商標マッチ】と【広告マ
ッチ】に大別される様で、今回紙面でご紹介した
ラベルは、後者の【広告マッチ】に分類される。
 広告マッチは読んで字の如く、宣伝及び景品用
に出されたもので、商標マッチとの大きな違いは
無償で配布される事。
 その登場は明治後期になり、当初は広告スベー
スが余りにも小さい事が欠点とされ、それ程の需
要が見られなかったが、やがて小さいながらも宣
伝効果が認められ始め、普及の一途を辿った。
 販売用に作られる商標マッチでは、自由なデザ
インで種々の絵柄が見られ、縁起物や動物(十二
支など)がとりわけ目立つ。小西コレクションの
中では、鶴・兎と龍(十二支の引継であろう)・
馬・ツバメ・桃が確認される。
 コレクターの世界では、商標マッチのラベルは
「本票」(ほんぴょう)と呼ぱれ、広告ラベルと
は区別されている。
◆下から2段目..尾道外のラペル「カフェーひな
どり」のデザインは、とりわけ秀逸と言えるもの
がある。

尾道学研究会ホームページ



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