尾道　なかた美術館でポール・アイズピリの「新作展」

	2009年5月15日(金) 「なかた美術館」で巨匠ポール・アイズピリの「新作展」　90歳の誕生日孫娘２人が来館して　　故中田会頭の遺産　　「尾道文化の新たな殿堂」として

	深い閉塞感に覆われている現代社会にあって、人間に生きる喜びや夢を与えてくれる世界的な巨匠ポール・アイズピリ（1919年～）の新作展が、アイズピリの誕生日に合わせて５月14日から、尾道市潮見町のなかた美術館（中田冨美館長）で始まり、アイズピリの孫娘２人がオープニングに出席し、尾道で開かれる巨匠の新作展に華を添えた。　開会にあたって中田館長は、お孫さん２人が今日の日のために出席してくださり、また銀座のギャラリーためなが、佐久間真理様の力添えをいただき、５年ぶりのアイズピリ新作展を90歳の誕生日の日に開くことができた－とその喜びを素直に表現し、「ますます軽やかさと幻想性を増した独創的なアイズピリの世界を、どうぞ楽しんで下さい」と感謝の意を述べた。　アイズピリの孫娘のマジョレーヌさん(長女)とヴァレンティーヌさんの２人が登壇し、マジョレーヌさんがアイズピリから託されたメッセージを代読。ためながの佐久間さんが「90歳の誕生日の日に合わせての展覧会に出席できないのは残念ですが、大変名誉なことでありがとうございます」という感謝の意を訳して紹介した。　続いて、ロセアンのシェフの手づくりの豪華な誕生日ケーキを前にして、ハッピーバースデー、アイズピリを参加者全員で唄い、孫娘２人が９本のローソクの灯を消して全員で誕生日を祝った。　３人に半田光行教育長と主催者のナカタマック・コーポレーション坂本雄二社長の２人が加わってテープカットをし、待ち構えた招待者に報道機関ら５０人が会場に入場した。　１階の展示場は創設者の故中田貞雄氏（商議所会頭）が「アイズピリのための常設の展示場として考えていた」（中田冨美館長）といわれるほど、この巨匠の作品が似合う部屋になっており「魚が空を泳いだっていい」という大作「カンヌ」が鑑賞者をいきなり圧倒する迫力で迫ってきた。　中田館長によると、今回の新作展では「風景、人物、花の３つを中心に約５０点を展示している」とのことで、なかた美術館としても約３０点のアイズピリ作品を所蔵しているが、今回は館蔵品は１点も展示していない。いずれも新作ばかり。　「父とアイズピリとの交流は１５年くらい前に始まり、こちらからパリの自宅を訪ねたり、アイズピリにも尾道に来てもらったこともある」ほどで、同館には故中田貞雄氏の肖像画まである。　「尾道でアイズピリの新作展が開かれることがスゴイことですネ」と尋ねると、「来館者からよく『なんで尾道なのですか』と訊かれるのですよ」と笑顔で応えていた。　２階の会場入口付近には、孫娘のマジョレーヌさんをモデルに描いた「ヴァランタイン」が展示され、マジョレーヌさんとヴァレンティーヌさんの２人と絵を取り囲むようにして記念写真を撮影する光景が見うけられた。ポールーアイズピリ　1919年、パリに生まれる▽1936年、絵画を志しパリ美術学校へ転校、サバテの指導を受ける▽19 39年、徴兵され第二次世界大戦でドイツ軍の捕虜となるも脱走▽1945年、フランス解放後「青年絵画展」（サロン・ド・ジューヌ・バンテュール）の創立会員となる▽1946年、青年絵画展で受賞。　1951年、ヴェネツィアビエンナーレでプリ・ナショナル賞受賞▽1952年、アテネ美術館で個展、以下世界各地で個展。　1963年、国際形象展（東京・大阪）出品。以降、毎年出品を続ける▽1969年、ギャラリーためなが（パリ）にて個展。以降、世界各地で個展。　2004年、なかた美術館にて「アイズピリ・ゴリチ親子展」開催。新作展の案内　90歳の誕生日を迎えて～ポール・アイズピリ新作展は５月１４日（木）～９月６日（日）まで。月曜日が休館（祝日の場合は翌火曜日が休館）。夏期休館が８月１７日（月）～２４日（月）まで。午前９時～午後５時半（入館は５時まで）。　入館料は一般５００円（前売り３００円）、中・高・大は１００円。　私の新作の展覧会がなかた美術館で開催されると聞き、心から感謝しております。　さらにオープニングを私の90歳の誕生日である５月14日に合わせていただくことは、何と心くすぐる演出でしょう! 　日本という素晴らしい国で、私の作品が評価され、また皆さんに喜んでいただける事を大変嬉しく思います。　作家としてオープニングに伺えないことを、とても残念に思いますが、私の心は作品を通じて確かにそこにあります。　日本の皆さんと共に。　　　　　　　　　　　　　　深い友情を込めて　　　　　　　　　　　　　　　　　アイズピリ

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