2009年4月28日(火)
5月9日
 薪能で伝統文化触れて
  国宝の寺、浄土寺境内で18年目に
ポスター
 日本古来の伝統文化で、尾道の初夏の恒例行事
として人気がある「尾道薪能」が来月9日(土)
夜、東久保町、真言宗浄土寺の境内で開かれる
(雨天時決行)。しまなみ海道の開通10周年を記
念し18年目の公演となる。
 尾道足利氏ゆかりの会(村上隆会長代行)と尾
道薪能実行委員会(堀田克介委員長)の主催。13
45年建造の国重要文化財「阿弥陀堂」を舞台に午
後6時に開演。
 シテ方観世流準職分で重要無形文化財能楽(総
合指定)保持者の吉田潔司さん(67)が能「俊成
忠度」(しゅんぜいただのり)への誘いとして、
室町時代から受け継がれる古典劇の能について簡
単に解説。茂山良暢さんらの狂言「寝音曲」(ね
おんぎょく)に続いて笥火に火が入れられる。
 能のクライマックスのみを謡いだけで表現する
仕舞「嵐山」を吉田潔司さん、「葵上」を井上裕
久さんが演じ、メイン舞台の能「俊成忠度」へと
移っていく。
 主役は潔司さんの長男で、シテ方観世流準職分
の吉田篤史さん(35)。さらに昨年ゆかりの地尾
道・西国寺で公演した川口晃平さんもゲスト出演
する。川口さんの舞台に篤史さんが招かれたこと
から、今回はそのお礼ともいえる。
 「俊成忠度」のあらすじは、西海の合戦で薩摩
守・忠度を討った岡部六弥太(ワキ)は、忠度の
持っていた短冊を持って五條三位俊成卿(ツレ)
を訪ねる。俊成が短冊を見て、忠度の最期を惜し
んでいると忠度の霊(シテ)が現れて、互いに和
歌のことを語り合う。その後、ようすが俄に変わ
り、修羅道の有様を示すが、間もなく梵天は剣の
責めを赦し、夜明けになって、忠度の姿は消え失
せるという物語。
 「600年も昔の言葉で解らなくても当然で、
演者が謡う言葉に囚われず、大まかなあらすじだ
けを頭に入れて観て頂きたい。謡や囃子の旋律、
そして緊迫感を肌で感じてほしい。同じ日本人が
創った劇ゆえに、何か共感頂けるのでは」と篤史
さん。
 入場券は大人前売り3000円(当日券3500円)、
大学生1000円、「若者や子供にも伝統文化に触れ
てほしい」と高校生以下は無料になっている。ロ
ープウェイ乗り場、啓文社各店、中屋本舗などで
販売している。
 吉田潔司さんは5年前から毎月、市立久保小の
授業で児童に謡と仕舞の稽古を行っている。篤史
さんは久保小や栗原小、高須小などの京都への修
学旅行の中で能楽講演をするなど、60年以上関わ
りのある尾道での伝統文化の普及と継承につとめ
ている。尾道薪能は、2006年にひろしま文化振興
財団の「広島文化賞」を受賞している。[幾野伝]

公式サイト
(終了後リンク切れになることがあります)



ニュース・メニューへ戻る