2008年8月14日(木)
「八幡大菩薩」の古旗
「おのみち歴史博物館」で9月7日まで
 村上水軍戦勝祈願の木像など
  「知られざる尾道仏教美術−因島編」
木像毘沙門立像 村上宏治氏撮影
↑撮影・村上宏治氏
展示の様子
 おのみち歴史博物館では、尾道市市制施行百十
周年を記念して、特別展「知られざる尾道仏教美
術−因島編」を7月19日(土)から開催してい
ます。
 因島は、瀬戸内海のほぽ中央に位置し、その地
名は、承平元年(931)、源順の和名類聚抄に
「印乃之末」として史実に初登場します。
 南北朝時代の終わりから戦国時代にかけての村
上水軍の活躍は、いまなお語りつがれ、因島は
「水軍のふるさと」として全国に知られています。
さらに、江戸時代の回船業、明治以降の造船業を
含め、海に関する長い伝統を有しています。この
伝統は、本展で紹介している因島の寺々に伝わる
貴重な文化財からも読み解くことができます。
「木造毘沙門立像」安土桃山時代 成願寺蔵
(写真上)

 本像は、因島村上水軍の第六代当主・村上吉充
が、永禄十年(1567)、青木城築城の際、家老の
宮地大炊助が同地に建立した毘沙門堂の本尊とし
て祭祀されたものと伝わります。丁寧な彫りと細
かな彩色が美しく、背中にまとった皮鎧は虎柄で、
毘沙門天の神使として扱われた虎をここに見るこ
とができます。また毘沙門天は、戦国時代に「越
後の虎」と畏れられた上杉謙信が、「毘」を旗印
にするほど信仰したのは有名です。因島村上水軍
が戦勝を祈願した本像は、現在、成願寺の毘沙門
天堂に安置されており、四百年以上の歴史上、因
島を出られたのは、今回が初めてです。
 この他、村上吉充が中国より持ち帰り、明徳寺
へ寄進したものと伝わる鎌倉時代に制作された尾
道市重要文化財「絹本着色仏涅槃図」。
 室町時代の因島村上水軍の幸崎城主・村上義房
が建立した福泉寺に安置されている尾道市重要文
化財「厨子(木造不動明王立像)」。密巌浄土寺
にある「ハッサクの原木」の切り株の上に鎮座し
ている「木造地蔵菩薩立像」。文政元年(1818)、
成願寺に奉納された因島村上水軍の旗印「八幡大
菩薩」の古幡など。因島に伝わる多彩な仏教美術
を展覧しています。また映像では、この古幡の伝
統を今に伝える広島県無形民俗文化財「椋浦の法
楽おどり」(毎年8月15日奉納)を紹介してい
ます。今夏、知られざる尾道(因島編)の貴重な
仏教美術の真髄をこの機会にご観覧ください。
 会期は9月7日(日)まで。入館料は一般200
円、共通500円(おのみち映画資料館も観覧できま
す)。中学生以下無料。会期中は無休。(尾道市
教育委員会文化振興課文化財係)

場所はこちらの「お」



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