2008年8月12日(火)
鞆の浦原告団
県は裁判所の指摘に答えられず!?
 根幹部分「事業の必要性何か」
  国交省地方整備局に要望書提出
 福山市鞆町の埋立て架橋計画に反対する鞆の世
界遺産訴訟原告団(大井幹雄原告団長)と、鞆の
世界遺産実現と活力あるまちづくりをめざす住民
の会(鈴木晋三代表)が、国土交通省中国地方整
備局に埋立て免許を認可しないように求める要望
書を提出している(先月30日)。  [幾野伝]

 要望書は、「原告住民にとって、長年慣れ親し
んできた静かな海面が架橋道路に変貌し、騒音と
大気汚染をまき散らす巨大な遮へい物の出現で、
眺望が侵害され、精神的な被害は計り知れない。
観光業への打撃も甚大」と述べたうえで、一貫し
て主張している山側のトンネル案を提示。「交通
問題などへの対応は埋立て架橋案と差異がなく、
優れた代替案であるトンネル案を、広島県知事は
合理的な理由も無く不採用とした」と免許権者と
しての判断の欠落と過誤を指摘している。
 今年2月の広島地裁での仮差止めの決定内容を
もとに、「埋立てが着工されれば、害された景観
は現状回復が著しく困難」、「免許が出た場合で
も直ちに差止め訴訟を取り消し訴訟に変更、執行
停止を申し立てられる・・」と裁判所自らが明記
した点から、「埋立て免許が司法の判断により取
り消される可能性が十分あることを示唆している」
と記す。
 さらに公判において、裁判所から「埋立ての目
的と必要性」、「合理性やトンネル代替案に対す
る埋立て架橋の優位性」などの根拠の説明不足、
詳しい釈明を求められているにも関わらず、被告
である県は回答を延期している点について、「そ
もそもの事業の必要性は何かという、根幹部分の
内容不足を指摘され、その説明が未だなされてな
い状況下で認可を申請すること自体が非常に拙速」
とするどく指摘。
 最後に、国交省所管の古都保存財団などが「美
しい日本の歴史的風±100選」に鞆の浦を選んだ
ことに触れ、「多くの地域が独自性を失いつつあ
る現在、鞆が歴史的風土を残していられるのは、
古来の港町の機能を失わずに変わらず営みを続け
ているからで、事業で営みを分断し歴史的風土を
損なうことは選定の意義にもとる」と結んでいる。



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