2008年5月3日(土)
『Sense Of Onomichi』
祖母のルーツ追うリンダ・オオハマ監督
 「尾道の風景」カナダで
   短編映画祭ノミネートの報届く
土堂海岸で
映画祭ポスター
 尾道を舞台に製作された短編映画が、カナダの
伝統ある映画祭にノミネートされたことが、2日
までに分かった。尾道にルーツをもつカナダ人日
系3世の映画監督、リンダ・オオハマさんが2006
年夏に製作した『Sense Of Onomi
chi』 (センス・オプ・オノミチ)。支援者
でプロデューサーをつとめた大谷治さんに監督か
ら連絡が届いた。         [幾野伝]

 バンクーバー在住の日系3世の映画監督リンダ
・オオハマさんの祖母、今本朝代さん(1898〜
2003年)は尾道市土堂2丁目の生まれで、単身で
カナダに渡って104歳で生涯を終えた。
 オオハマさんは、祖母の生い立ちと生き様を辿
ったドキュメンタリー映画『おばあちゃんのガー
デン』を、出身地である尾道などでロケーション、
数年掛けて製作した。「カナダ移民の貴重な記録
映画」として高く評価され、2002年に日本各地で
自主リレー上映会が行われ、尾道でも同年11月に
市公会堂で公開し、満席となった。
 以降オオハマさんは毎年夏、休暇を兼ねて尾道
を訪れて長期滞在しており、『センス・オプ・オ
ノミチ』(20分)は2006年7月末に約1週間、夏
の尾道でロケーション、その後カナダに帰国して
編集し、完成させていた。
 『おばあちゃんの−』の続編とも言われ、尾道
の坂道や小路、山、海を舞台に繰り広げられる日
常の暮らしや祭りを主観的に見つめた内容。「移
ろい行く時の流れ」の中で、何百年と変わること
のない寺院の「鐘の音」や「満月」を象徴的に取
り入れ、祖母の古里、つまりは自分のルーツでも
ある日本・尾道を、静かな音楽にのせて叙情的に
表現した。
 NPO法人プラットフォーム・おのみち(徳永
修理事長)がプロデュース、大谷治さんがライン
・プロデューサーをつとめた。撮影スタッフとし
て長尾光徳さん、堀川文雄さん、佐野正美さんの
3人がボランティアで参加、尾道観光協会などが
協力した(=写真)。
 出品するのはカナダ中央部、サスカチュワン州
東部のヨークトン市で今月22〜25日に開かれる
「ヨークトン短編フィルム&ビデオフェスティバ
ル」で、1947年から60年以上続くカナダで最も歴
史がある映画祭だという。ドラマやアニメーショ
ン、コメディ、ノンフィクションなど17部門ある
コンペティションのうち、『センス・オプ・オノ
ミチ』は5作品が競うドキュメンタリーのポイン
ト・オプ・ビュー(ある視点)部門にノミネート
された。
 「オオハマ監督から連絡があり、『尾道の方々
に感謝し、共におめでとうを言いたい』と、とて
も喜んでいた。これを手掛かりにアメリカのシカ
ゴやニューヨーク、ロサンゼルスなどのフィルム
・フェスティバルにもトライしたいと話していた」
と大谷さん。「尾道で自主製作された作品が、世
界的な伝統ある映画祭にノミネート、上映される
ことは素晴らしい。ある意味で尾道の風景・景観
が認められたということではないか」と話してい
る。



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