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2008年2月16日(土) 日本歴史学協会 「海中にも多数遺跡が」 改めて鞆の浦計画の中止要望を |
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全国の学会や研究者個人で構成する日本歴史学 協会(会長=木畑洋一・東京大学大学院総合文化 研究科教授)と同協会文化財保護特別委員会(石 山久男委員長)はこのほど、福山鞆の浦の「埋立 て架橋計画」の中止を求める次の要望書を福山市 長宛に提出した。 [幾野伝] 広島県福山市鞆地区道路港湾整備計画にもとづ く鞆の浦埋立・架橋計画については、当協会なら びに当協会に加盟する多数の歴史学会がかねてよ り強い関心をいだき、これまでもたびたびこれに 関する要望書を提出してきたところであります。 ところが、福山市および広島県当局におかれて は、いよいよ早期着工にむけて動き出しているや に聞いております。 当協会がこの問題を重視むてきたゆえんは、鞆 の浦地区に、江戸時代の港湾施設と町並が古い形 をとどめたまま一体となって大規模に現存し活用 され続けており、きわめて貴重な歴史的遺産とな っているとともに、それが文化的価値のきわめて 高い景観をつくりだしていることにあります。ま た、海中にも多数の遺跡・遺物が残存しているこ とが予想されますが、その調査も十分に行われて いません。 もしかりに鞆地区の埋立・架橋計画が実行され るならば、これらの歴史的遺産と景観がとりかえ しのつかない形で破壊されることになります。 ユネスコ世界遺産委員会のもとにある国際記念 物遺跡会議も、2005年の第15回総会において架橋 計画の放棄を求める決議を採択しましたが、その ことが示すように、鞆の浦の歴史的・文化的価値 は国際的にも認知され、埋立・架橋計画に対して は国際的な強い批判がおこっています。 また、埋立・架橋計画推進の理由とされている 鞆地区のかかえる諸問題については、それを解決 する他の方法も提案されているところです。 このような状況を勘案し、当協会として、鞆の 浦埋立・架橋計画の実施を中止し、文化財保護と 両立する生活環境改善の計画をあらためて策定さ れるよう強く要望いたします。 (=写真上は現在の鞆の浦風景で、下は同じ位置 からの埋立架橋後のイメージ図。鞆の世界遺産実 現と活力あるまちづぐりをめざす住民の会の制作)。 |