2007年9月22日(土) 22日から小林和作の画業辿る 市立美術館で水彩・油彩70点を |
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尾道市立美術館で22日から「小林和作の世界展」 が始まる。尾道ゆかりの洋画家、小林和作(1888 〜1974年)の画業を回顧する展覧会で、三次市に ある寺院の本堂を飾っている日本画の襖絵が初め て公開される。 [幾野伝] 1980年に開館した市立美術館は、名誉市民小林 和作の作品収集に力を入れてきたが、昨年東京の 個人収集家(丹下コレクション)から数多くの優 品が寄せられたこともあって油彩画、水彩画など 収蔵品が300点を越えた。 今回はその収蔵品を中心に70年にわたる画業を 回顧するもので、日本画家を志した「京都時代」 から洋画家に転向した「東京時代」、画家として 大半を過ごした「尾道時代」に分けて約70点を展 示。 京都市立絵画専門学校で課題制作した屏風「桃 山風景」(1912年頃、顔料)や翌年の軸「志摩の 波切村」(第7回文展)=写真下の作品(一部分) =など初期の作品をはじめ、洋画家を目指して間 なしの春陽会展で入賞した「軽井沢の春」(1925 年)、40歳の時に出掛けたヨーロッパの旅で描い た「アマルフィ風景」(1928年)、「カプリ島」 (同)、尾道に移住してきた頃の「秋郊松永」 (1934年、第4回独立展)、向島を描いた「日照 雨」(1935年、第5回独立展)など油彩画が並ぶ。 他には県立尾道東高校の校長室にあり、農作業 の様子を描いた白い梨の花が印象的な「春」(19 48年)=写真上、尾道商工会議所の会頭室に掛か る晩年の「秋山」(1971年)、三次市の臨済宗仏 通寺派大慈寺の本堂を飾る襖絵16枚のうち、鳩や 富士山、椿などが描かれた8枚が特別公開されて いる。 大慈寺は古くから県北の名刹として知られ、尾 道の日本画家、森谷南人子氏も昭和の初め頃に取 材して「吉舎雪景(大慈寺)」を描いている。和 作は晩年に住職と交友があり、小野鐵之助氏と2 人で配置を決めたと伝えられている。 「和作の歩みを改めて知り、身近に感じてもら う機会になれば」と美術館。23日午後2時から学 芸員による作品解説、灯りまつりの協賛で夜間特 別開館する29日午後6時半からは、ミュージアム・ コンサートとして岡田菜穂子さんのピアノ演奏会 がある。 23日放送のNHK教育テレビ「新日曜美術館」 の告知コーナーで、同展が紹介される予定。 会期は10月14日までで、24日と8日を除き月曜 日は休館。一般300円、高大生200円、中学 生以下は無料。 |