2007年9月8日(土)
杭谷一東氏
 自然に加え歴史と対話
  評価受けローマ遺跡群で異例の個展を
杭谷さん作品群
 壮大な夢に挑戦を−。瀬戸田町の耕三寺『未来
心の丘』や新尾道駅前『大地の鼓動』、ぴんご運
動公園『太陽への道』などを制作している環境彫
刻家、杭谷一東(くえたに・かずと)氏(65)が
来年4月から、活動拠点のイタリア・ローマの古
代遺跡や宮殿で個展を開く。同国が美術展の会場
として古代遺跡の使用許可を出すのは異例で、同
氏への世界的な評価の表れと言える。杭谷氏は
「今回は自然との対話に加え、ローマ帝国の歴史
に問い掛けながらの制作になる」と語っている。
                 [幾野伝]

 作品展名は「アッピア旧街道ローマ古代遺跡群
との対話に挑戦」。主催は非営利団体のプロジェ
クト・ローマで、日本国大使館とイタリア国文化
財及び文化活動担当省が後援する。会期は2008年
4月〜10月までの半年間の予定。ローマ市郊外ア
ッピア旧街道沿いにあるイタリア国有の古代遺跡
群集積地(17ha)をメインに、チェチリア・メテ
ッラの墓廟(1200平方メートル)、ローマ中央駅
(テルミニ)近くのローマ国立博物館・マッシモ
宮殿が会場になる。
 遺跡群では『曙風門』、『天地花』、『和舒門』、
『唯心』(=写真右上)など高さ5〜6mに達す
る大作5点と小作品を発表。チェチリア墓廟やマ
ッシモ宮殿では『未来心の丘』の原形や写真パネ
ル、小中型の作品を展示する。
 1942年2月、世羅郡甲山町宇津戸出身の杭谷氏
は、伯父で御調町出身の彫刻家、圓鍔勝三氏を師
事、62年日展に初入選し以後連続8回入選する。
しかし「個性」を求めて27歳でイタリアヘ渡り、
国立アカデミーで学ぶ。ローマ・カトリックの総
本山ヴァチカン宮殿謁見の間の「キリストの復活」
の制作に、巨匠ファッツィーニ教授の助手として
参加した。
 代表作の耕三寺博物館『未来心の丘』は1988年
に制作開始、90年ヴァチカン宮殿でローマ法王
ヨハネ・パウロニ世(故人)に謁見を果たす。
2000年『未来心の丘』第1期オープン、04年に
アトリエのあるトスカーナ州・カッラーラで当時
のチャンピ大統領に謁見、翌年世界的に権威のあ
る「マーブル・アーキテクチュアル・アワード」
の都市景観部門大賞を受賞している。
 一時帰国から9日には再びイタリアヘ出発する
杭谷氏は「今まで自然との対話を心掛けて制作活
動してきた。今回はそれに歴史との対話が加わる
ことになる。それもローマ帝国という巨大かつ深
遠な歴史との対話。アッピア街道を取り巻く自然
とローマ帝国の歴史に問い掛けながら制作に励ん
でいる」と話している。
 主催者では広く企業からの支援と協賛金を募っ
ている。
 =写真右下の作品は、子供の時に二股の枝を使
って初めて彫ったこけし(高さ7cm)。母と子が
向き合っている姿で、彫刻家杭谷氏の原点。



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