2007年8月26日(日)
山本基さん
 三軒家の古民家に塩『迷宮』を
  離れて17年、古里尾道で初個展
塩の作品
「和製ガウディ」
 国内外で活躍し脚光を浴びている造形作家、山
本基さん(41)が来月1日から、古里尾道で初の
個展を開く。会場は少年時代を過ごした三軒家町
の斜面地に残る古民家。現在、塩によるインスタ
レーションを公開制作している山本さんは「緊張
して帰って来たが、不思議にリラックスした気持
ちで作品と向き合っています」と話している。
                 [幾野伝]

 西御所町に生まれて土堂小、長江中、尾道工業
高を卒業後、尾道の造船所に一時期務めた山本さ
んはその後、思い立って金沢美術工芸大学絵画専
攻に進学し、1995年に卒業後も北陸金沢を拠点に
活動している。世界でも稀な『塩』を使った造形
作家として、東京、京都、石川など国内での個展
やグループ展にとどまらず、近年はアメリカやイ
ギリス、ドイツ、スイス、イタリアのヨーロッパ
各国、韓国、中東など海外での作品発表も相次い
でいる。
 今回初めてとなる古里尾道での作品展は、現在
山手の空き家などを活用して繰り広げられている
美術展「アーティスト・イン・レジデンス尾道」
の招へい作家として参加したもの。会場となる三
軒家町の古民家は昭和初期に建てられ、ここ25年
間は空き家になっていた物件を豊田さんがこの春
買い取り、現在再生を計画している木造の日本家
屋(=写真左)。
 天満町の家並みが見渡せる2階部分の8畳、2
畳の和室と洋室、1階の床がキャンバスとなり、
精製塩で細かな迷路のごとく「道」を刻んでいく
同氏の代表作『迷宮』を制作している(=写真)。
雨漏りで一部腐って床や壁が落ちている箇所も
「舞台」に取り入れ、館内全体で1つの作品を表
現しているのが面白い。
 大学3年生で27歳の1994年冬、24歳だった実妹
が病気で他界したことが自らの制作の原点である
と語ってきた山本さん。「以前は自分の作品に人
を寄せ付けたくない気持ちが強くあったが、時間
の経過もあってか、2年ぐらい前から徐々に心境
が変わってきた気がします」と話し、制作過程の
公開も受け入れている。
 20日から準備に取り掛かり、「子供の時に遊び
まわった町並み」を眺めながら、訪ねて来る人と
会話を重ね、古里ならではの制作環境を楽しんで
いるかのようす。
 「尾道を離れて17年。昔の私を知る友人達から、
今の自分では意識していない違った性格の一面を
教えられたりします。今回かなり緊張して帰って
来たが、不思議にリラックスして作品に向かって
います。両親が元気なうちに、何とか尾道で作品
発表が出来ることもうれしい。今後何か新しい作
品に挑戦するきっかけを今回もらったような気が
します」と語っている。
 31日まで公開制作を続、翌1日から11日までが
展覧会となる。毎日午前11時から午後5時までで、
入場無料。基本的に山本さんも会場に居るという。
 会場の古民家は、千光寺公園に通じる細く曲が
った坂道に合わせるように建てられ、特徴ある佇
まいから『和製ガウディ』の異名をもつ。坂道が
大林宣彦監督の映画《さぴしんぽう》や《ふたり》
のロケ地になったことでも知られる。
 豊田さんは、大工の夫訓嘉さんや支援者と一緒
に再生計画を進めており、貸しスペースなどで活
用していきたい考え。



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