2007年7月21日(土)
土堂小5年生
 「猫」は平和な町表現を
   映画《ふたり》で古里の魅力探る
発表の様子
 監督はどうしてここで撮影したのだろうか?
 市立土堂小学校(松原隆二校長)の5年生(2
クラス53人)が19日、郷土科の授業で古里を舞台
にした大林宣彦監督の「尾道映画」について研究
してきたことを発表した。     [幾野伝]

 同校では昨年度から、先輩でもある大林監督の
映画作品を通じて、自分達の町の魅力をもっとよ
く知ろうと、「映画のまち尾道」をテーマに授業
を進めている。
 姉妹と家族の愛を描いた1991年公開の尾道映画
《ふたり》を、1学期の初めに教室で鑑賞するこ
とからスタート。その中でそれぞれが印象に残っ
たワンシーンについて語り合い、グループに分か
れて先月には撮影地を実際に訪ねてゆかりの人に
当時の話しを聞いたり、「なぜ監督はこのシーン
をこの場所で撮影したのだろうか」と想像してみ
るなど、作品とロケーション場所の関係について
探ってきた。
 授業には繋がりの深い長江1丁目、大谷治さん
がゲスト・ティーチャーで参観。児童はグループ
ごとに山手の石段や民家、艮神社、岩子島などの
登場シーンを紹介しながら、作家である監督の思
いや狙いなどの考察を発表していった(=写真)。
 多くの猫の姿が映る土堂の坂道の場面について
は、「猫は自由で気ままで活発な性格から、監督
はここでは『少年の町』を描きたかったのではな
いか。一方猫はのんびり屋さんでもあるので、尾
道の『平和な風景』とも結び付けたかったのかも
知れない」と分析した。
 主人公の姉がトラック事故に遭う場面を撮影し
た東久保町の「吉田邸」に関しては、「ここには
面白いポストや木の門があり、植物もたくさん植
えてある。監督は個性溢れる雰囲気が気に入った
のではないか」と解説。
 マラソンのシーンで出て来る「向島大橋」では、
「橋はもともと、町ど町、島と島を結ぶものだが、
監督はこの橋で姉と妹の2人を結び付けたかった
のではないか」と鋭い考察を披露した。
 最後に大谷さんが「映画の中には、今ではもう
見ることが出来ない情景もあるが、作品には監督
の伝えたいことが込められている。皆さんのよう
に、一所懸命に町のことを学んで、魅力を見付け
ようとしていることに映画が役立つのはとても嬉
しいです」と講評した。



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