2007年6月1日(金)
鞆の浦で
現行計画「再生の可能性否定」
 日本建築学会も見直し要望書を
鞆港 
 県と福山市が進めている鞆の浦の埋め立て・架
橋計画について、(社)日本建築学会(会長=村
上周三慶応大学教授、東京大学名誉教授)はこの
ほど、計画の見直しを求める要望書を藤田雄山知
事と羽田皓福山市長宛に提出した。1886年設立の
同学会は建築分野では最古の学術団体で、建設界
の主導的役割を果たしている。会員は大学など研
究機関をはじめ総合建設会社、設計事務所、官公
庁、建設機材メーカーなどの3万5000人を超える。
歴史的建造物の保存のための要望書はこれまでも
多く出しているが、今回のような大規模な土木工
事に対して再考を促す要望は初めてと言う。歴史
的価値に触れながら後半、次のように専門家とし
ての意見を述べている。      [幾野伝]

 人口減少社会に突入し、自治体の財政規模が縮
小し、従来の国土開発に代わり、国土保全が重要
な国策となっている我国では、従来型の公共事業
の見直しが各地で進められております。貴重な税
金を投入するにあたり、公共事業の妥当性が厳し
く問われる時代となっております。鞆地区道路港
湾整備事業についても、地元での賛否両論、国内
外の専門家の意見に真摯に耳を傾けた再度の慎重
な事業検討と、代替案も含めた充分な合意形成が
必須であることは間違いありません。
 建築分野の専門家として、長期的視野において
鞆地区の将来を展望すれば、その貴重な財産であ
る歴史的景観、文化的景観の保全を都市づくりの
基本に置き、地区内の通過交通の排除をはじめと
する住環境の改善を積み重ねていくことで、誰も
が羨む美しい風景と豊かな暮らしを持つ唯一無比
の歴史文化都市として再生する可能性が見えます。
その可能性を正面から否定することになる現行の
鞆地区道路港湾整備事業は、根本的な見直しが必
要だと考えます。むしろ鞆の浦の文化と歴史性を
活かした保全的整備こそがこれから待望され、多
くの人々が集い来る魅力的なまちづくりの道であ
ると考えます。
 我国では2005年に景観法が制定されました。美
しい風景を守り育てていくことが、国民の大きな
関心事となっております。全国的に見ても大変価
値の高い鞆の浦を擁する福山市は、歴史的景観、
文化的景観の未来への継承の重要性を広く訴え、
そうした歴史や文化を活かしたまちづくりを先導
する役割が期待されています。だからこそ、他の
公共団体の範となるべく、鞆の浦の有する歴史的・
文化的価値についてあらためてご理解を頂き、こ
の貴重な資産が未来に継承されるよう、合意形成
なきままの早急な理立免許申請を取りやめ、代替
案の検討も含めて現行の鞆地区道路港湾整備事業
の見直しに着手されることを強く要望いたします。



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