2007年5月24日(木)
鞆の浦事業
 県と市の申請に抗議を
  支援の会 大林監督と前野教授が声明文
 監督と教授
 福山市鞆の浦の埋め立て・架橋事業で、広島県
と福山市が23日午後、藤田雄山知事に埋め立て免
許を申請した。『鞆の世界遺産実現と活力あるま
ちづくりをめざす住民の会』を支援する会は、
「県と市は、排水権者全員の同意無く、事業に反
対する住民達が提出した質問に全く答えないまま
に申請した−」として抗議、会のメンバーである
映画作家の大林宣彦監督と文化財保存学が専門の
前野まさる・東京藝術大学名誉教授(ユネスコの
諮問機関イコモス国内委員長)が次のような声明
文を発表した(全文)。
                 [幾野伝]
[大林宣彦]
 鞆の住民の方達が、自らの生活の不便や我慢を
も厭わず、いま人間社会にとって最も重要な課題
を、世界に向けて投げかけておられる。それでも
考えには色色あり、行政がそれを1つと決めて先
導すれば争いの元。行政は常に住民の後ろから付
いていくことで穏やかな世を生むのです。
 スローライフとは待て、ゆっくり考えよ。オン
リーワンとは考えの異なる他者を理解せよ。温故
知新。昔を学び新しきを創造する。スクラップ・
アンド・ビルドよりメンテナンスで。
 鞆の港は美しい人類の未来のための豊かな資源。
壊すのは大損失。現実問題は現実的に、としてい
ることに、憂慮するものです。トンネル案などを
もっと討議する。早急に港に手を付けるのは、あ
の70年代の悪夢を繰り返すようで、今は違和感が
強い。
 鞆が発信する美しい日木像を、世界が見つめて
います。鞆の人達は、美しい日本人たろうと努力
されている。尊厳を!。
[前野まさる]
 鞆の港には、近世までに整備された歴史的港湾
施設としての波止(防波堤)、雁木(階段状桟橋)、
常夜灯(灯台)、焚場(船底の牡蝸殻を取るドック)、
船番所(港の出入りの事務を司る役所)など5施
設が遺されています。現在、保存維持されている
のは鞆港だけで、日本の伝統的な港湾の様子を伝
え得る唯一の港です。
 また、鞆の浦は朝鮮通信使の通るルート上にあ
り、国際的な文化の道として、今まさに、日韓の
研究者が合同で研究を行っているところです。
 埋立により焚場、架橋により常夜灯と雁木の歴
史的景観が失われるという埋立・架橋計画が、朝
鮮通信使交流400年という記念すべき年に強行
されようとしていることに憂慮するものです。
 鞆の浦は国際的な文化観光資源として、今後の
日本にとって重要な位置を占めることは言うまで
もありません。伝統的町並み内の交通問題はその
解決のために埋立・架橋以外にも策があり、専門
家を交えて、多角的に協議・検討する場を強く望
みます。
(=写真は中央に前野教授、右に大林監督)。



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