![]() |
2007年4月27日(金) 『鞆訴訟』原告・弁護団の声明 「致命的破壊の公共事業」 |
|
鞆の浦の埋め立て架橋計画に対する住民による 行政訴訟「鞆の浦世界遺産訴訟」の原告団と弁護 団が、24日の提訴にあたって発表した声明は次の とおり。 本日、鞆の浦世界遺産訴訟の原告163名は、 広島地方裁判所に対し、広島県を被告として、公 有水面埋立法2条に基づく鞆の浦の埋立免許の差 止めを求める行政訴訟を提起致しました。 古代から潮待ちの名港として知られ、万葉の歌 に詠まれ、また朝鮮通信使がその美しさを絶賛し た鞆の浦は、変化しやすく古い形態を残すものが 極めて少ない港湾の中にあって、日本の近世の港 を特徴づける雁木、常夜燈、波止場、焚場及び船 番所の5点をすべて残したわが国最後の歴史的港 湾です。 本件埋立と道路架橋は、将来世代を含む国民及 び世界の人々にとってかけがえのない、この歴史 的・文化的・自然的遺産を致命的に破壊する公共 事業です。この埋立を阻止し、鞘の世界遺産登録 実現を含めた活力あるまちづくりを目指すために、 原告団は、本件訴訟を「鞆の浦の世界遺産登録を 実現する生活・歴史・景観保全訴訟」(略称・鞆 の浦世界遺産訴訟)と名付けました。本件訴訟は、 世界遺産登録を阻む公共事業の差止めを求めるわ か国最初の訴訟です。 本件訴訟の第1陣原告は、排水権者、漁業者、 近隣住民など、鞆の住民を中心とした計163名 で、うち埋立に不同意である排水権者数は計98名 です。原告団では、今後、日本全国はもちろん、 世界中から原告を募集し、第2陣、第3陣訴訟を 提訴していく予定です。 本件埋立計画は、文化財や歴史的遺産・景観の 保護よりも国土開発が優先された約23年前に具体 化され、その後数回にわたり凍結されましたが、 今ついに実行されようとしています。これまで、 鞆のまちづくり・環境保護団体はもちろん、芸術 家、文化人や、世界遺産条約に規定される国際専 門家組織イコモス等から、再三にわたって計画中 止を求める切実な声が寄せられたにもかかわらず です。 多数の不同意排水権者が存在するにもかかわら ず、鞆の世界遺産価値を保全しつつ交通問題に対 処できるトンネル案という優れた代替案があるに もかかわらず、文化財を含む環境への特別の配慮 を求める瀬戸内法があるにもかかわらず、本件埋 立免許がされるとすれば、それは公有水面埋立法 4条1項・3項の要件を充足せず、違法であると いわざるを得ません。 鞆を守るためには、司法救済を求める道しかも はや残されておりません。鞆は、福山市と広島県 の無理解により、まだ世界遺産に登録されてはい ませんが、その貴重な価値は万人が認めるところ です。本件理立計画を阻止し、鞆の世界遺産登録 を実現するために、本件訴訟への一層のご支援を お願い致します。 |