2007年2月25日(日)
絵のまち四季展
『尾道派』独特の世界を
 最高賞の楠森さん「東京物語」導かれ感動描く 
展示の様子
市長から賞の授与
 (続報)隔年で開いている全国絵画展、第12回
「絵のまち尾道四季展」が24日、市立美術館と本
通り商店街で開幕した。来月11日まで、尾道をテ
ーマにした入賞作品はじめ秀作、入選作品が展示
されている。           [幾野伝]

 初日午前10時から、尾道水道と島々の風景が一
望できる市立美術館の2階ロビーで表彰式が行わ
れ、入賞者26人(欠席3人)に賞状や副賞が贈ら
れた。
 四季展実行委員長の亀田良一市長が「24年前、
商工会議所の発案で市の観光課がタイアップして
始まった。4年制大学になる時に美術学科を増科
したのも、芸術文化都市の構想も、その後の高校
生絵のまち四季展、写真の四季展も、原点はこの
絵のまち尾道四季展。随分町のイメージも高まっ
た」と自ら会議所副会頭時代から関わってきた思
いを込めながらあいさつ。
 審査委員長の清原啓一日本芸術院会員が「出品
数の増加もさることながら、作品内容も甲乙つけ
がたく、立派な公募展に成長した。審査は全て話
し合いを繰り返しながら、投票ではなく全員一致
で決めていった。入賞したかしないかは紙一重、
今回入賞したとしても、少し気を抜くと次には入
選すら難しいという高いレベルではないか。皆さ
んにはさらに良い作品を出してほしい」と呼び掛
けた。
 第1回目から審査に携わっている安井収蔵・酒
田市美術館長は審査経過を説明、「技術面だけで
はなく、作家の心象、考え方、独創性などに重き
を置いて審査した。絵のまち四季展は美術界でも
信頼性が高まっている。いつかは『尾道派』と呼
ばれるような独特の世界が創られると嬉しい」と
語り、最後に「特に美術・芸術に力を注いでこら
れた亀田市長に敬意を表したい」と結んだ。
 油彩「浄土寺暮色」(20号)で尾道賞グランプ
リを受賞した三重県、楠森總一郎さん(48)に亀
田市長から賞状と副賞200万円が手渡されたの
をはじめ(=写真)、金・銀・銅賞、小林和作奨
励賞、各団体・企業賞受貧者をそれぞれの代表ら
が表彰していった。
 楠森さんがあいさつし、「入賞された皆さんに
は2つの共通点があるのではないか。1つは絵が
好きで、もう1つは尾道が好きであるということ。
私は敬愛する小津安二郎監督の『東京物語』の聖
地巡礼の気持ちで尾道を訪ね、その時の思い出を
絵にしました」と述べた。
 商品広告のディレクターが本業の楠森さんは、
5年ほど前に初めて尾道を訪れ、3日ほど町を歩
いた。油絵を描き始めたのは2000年にパリ在住の
日本人画家に出会ってからで、まだ3、4年の腕
前。昨年たまたま上京した時に四季展の東京PR
展を見て、「あの時の夕景の感動を」と思い立っ
て絵筆を執ったという。「油絵は一生続けていき
たい」と話していた。



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