2006年12月28日(木)
迎春の準備
 仏様と先祖に感謝の心
  尾道のシンボル千光寺「驚音楼」すす払い
驚音楼
 年末になり、寺の町尾道では各寺院や神社でも
大掃除が行われ、初詣客を迎える準備が整えられ
ている。東土堂町、真言宗千光寺(多田義信住職)
では27日、年の瀬の風物詩にもなっている鐘楼
「驚音楼」のすす払いが行われた。 [幾野伝]

 尾道の町並みが一望できる鐘楼前に祭壇が設け
られ、午前10時から多田住職(66)と真祥副住職
(38)が集まった檀信徒ら20人と一緒に般若心経
をあげて焼香。竹ぽうきを手に鐘楼や梵鐘にたま
った塵やはこりを払い落とし、雑巾で丁寧に拭い
ていった(=写真)。
 驚音楼は「音に名高い千光寺の鐘は一里聞こえ
て二里響く」と謡われ、300年以上前の元禄年
間から刻の鐘としてつき始め、今も毎日夕方6時
の鐘として親しまれている。標高137mの千光
寺山の山頂近くにあって、1890年に竜宮造り
に建て替えられ、玉の岩とともに尾道のシンボル
になった。
 志賀直哉の小説「暗夜行路」や歌人中村憲吉の
作品に登場し、1996年に環境省選定の「日本の音
風景百選」にも選ぱれている。NHK番組「ゆく
年くる年」でも3回生中継された。
 除夜の鐘は大晦日の午後10時頃から鐘をつく順
番の整理券が配られ、10時半頃から住職がお経を
あげてつき始める。年が変わるまでに100打、
新年になって8打をつく。鐘をついた全員に干支
の福土鈴とみかんが贈られる。初日の出は7時過
ぎで、晴天なら大晦日に5000人、元日に3万人、
2日2万人、3日1万人の初詣客がある予想。
 「お陰様で今年は本堂舞台の改修工事が終わり
安心している。先日、境内の雑木を伐採して伝説
の御船岩も見えるようになった」と語る多田住職
は、「殺人や自殺が相次いで起こったが、来年は
命の尊さと大切さを顧みて、良い年になってほし
い」と語っている。
 檀家の1人で定年退職後、毎年大掃除や新年の
接待役で参加している佐野一美さん(76)は「仏
様と先祖に感謝しながら掃除させてもらっていま
す」と忙しそうに手を動かしていた。



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