2006年11月5日(日)
源氏供養 炎に浮かぶ幽玄美を
 浄土寺阿弥陀堂で「蝋燭能」
能の様子
 東久保町、真言宗浄土寺(小林海暢住職)の再興
七百年を記念した第5回尾道源氏絵まつりの「蝋
燭(ろうそく)能」が2日夜、国重要文化財の阿弥
陀堂(1345年再建)で特別奉納され、120人
がろうそくの炎が揺らめくなか幽玄な世界を体感
した。
 閉め切った堂内には古来から同寺に伝わり、5
日まで特別展観している「源氏物語絵扇面散屏風」
が立てられ、大型のろうそく10数本と足下にぽん
ぼりが灯された。
 シテ方観世流準職分の吉田篤史さん(32)が能に
ついて解説。「現在能の演目は200曲ほどあり、
平家物語を題材にしたものが35曲、源氏物語を基
にしているものが10曲ある。ろうそくを光源にす
ることで、幽玄な雰囲気がさらに増す。殺伐とし
た世の中、ゆったりした時間をすごしてほしい」
とあいさつ。
 薄明かりのろうそく炎だけが頼りのなか、「源
氏供養」が上演され、謡と鼓、横笛の音が響くな
か、重要無形文化財能楽保持者でシテ方観世流準
職分の吉田潔司さん(64)が紫式部を演じた(=
写真)。
 来場者は「ろうそくの炎に面や華やかな衣装が
煌めき、5月の薪能とはまた違った世界を楽しめ
た」と感想を語り、演者の潔司さんは「蝋燭能は
初めての試みだったが、皆様のお陰で厳かな堂内
で無事奉納することができた」と話していた。
                [幾野伝]



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