2006年10月21日(土)
みなとオアシス
市制施行110周年記念事業
 尾道港再生の切り札に
  西御所上屋を賑わいの施設に活用
手渡しの様子
上屋
 港尾道にかっての賑わいを取り戻そうと尾道市
は20日、中国地方整備局の「みなとオアシス」の
仮登録を受けた。西御所県営2号上屋を改造して
飲食、物販を取り扱う新たな観光交流施設として
活用する。市制110周年の記念事業として平成
20年4月、暫定供用開始する
 20日午前11時、中国地方整備局の港湾担当、藤
田武彦副局長が市長室を訪れ亀田市長に「みなと
オアシス」仮登録証を手渡した=写真上=。
 亀田市長は「倉庫群を活用した港の賑わいの創
出は商議所副会頭をしていた当時からの20年来の
夢で夢がかなった。倉庫の活用は自分なりにアイ
デアをもっているが今後、商議所をはじめ各種団
体で検討委員会を設け知恵を出していきたい」と
永年の夢が実現したことで意気盛んだった。
 藤田副局長は「運営プランの策定、イベントの
支援や施設改修の補助など協力していきたい。民
間からの支援も積極的に取り入れていきたい」と
出来る限りの支援、協力を約束した。
 「みなとオアシス尾道」の対象地域はJR尾道
駅、東御所緑地から西御所県営3号上屋までの約
6ヘクタール。
 事業構想では空き家となった県営西御所2号上
屋=写真下=を飲食や物販など市民や観光客が立
ち寄る賑わいのある観光交流施設に改造、海岸線
道路沿線に植栽や高潮対策をおこない、インフラ
整備費は約2億円を見積っている。港湾特別会計
から拠出するが国の補助メニューに乗せ助成を受
ける。
 施設の運営は民間に委託する。運営プランにつ
いて中国地方整備局が企画運営、人材、情報など
支援し調査費として200万円を助成する。施設
運営については官民が一体となり協議会を設け検
討していく。
 西御所2号上屋は戦時中の昭和18年に建てられ
た鉄筋コンクリート平屋建て延べ2023平方m。
戦時中に建てられた港湾倉庫は珍しく県内では尾
道だけが残っている。解体され今は駐車場になっ
ている1号上屋は鉄骨の梁や支柱にリベットが打
ち込まれ建築構造上、貴重な倉庫だった。
 ハード、ソフトを整え市制施行110周年の記
念事業として平成20年4月暫定供用、本格的には
翌年4月供用開始する。
 西御所3号上屋は海運業者が使用しており観光
交流施設への転用の目途は立っていない。
 市内では瀬戸田港が既に「みなとオアシス」の
登録を受けており、NPO法人「せとだ港房」が
瀬戸田港を中心にフリーマーケットや臨時クルー
ズ船の運航、貸し自転車などの活動をおこなって
いる。新市建設計画では現在の瀬戸田港の港湾施
設を解体、3億円かけて平成21年から2ヵ年でギ
ャラリー、展望喫茶、観光案内所を兼備したポー
トターミナルを建設する。
[解説]
 江戸時代、北前船の寄港地で戦後昭和40年代ま
で四国や島嶼部への海の拠点基地だった尾道港を
かっての賑わいのある港に復活しようとこれまで
幾多の青写真が描かれてきた。
 一番実現性の高いと思われていた尾道港再生計
画は山波沖に港湾物流基地を作り、西御所から新
浜にかけての県営上屋倉庫は全面移転、小樽運河
になぞらえ海岸線に賑わいの空間を創出しようと
絵姿を描いていたが国の財政が逼迫し山波沖の港
湾物流基地建設計画が流れ、今日に至っている。
 更に過去に遡れば故中田貞雄会頭が海中水族館
と西御所一帯を再開発し帝国ホテルを誘致しよう
という雄大な構想や横浜港のように大型レストラ
ンと駐車場、映画館を併設した船舶を尾道水道に
浮かべる計画など港尾道を蘇らせる青写真は行政、
民間を問わず描いては消されてきた。港尾道はそ
れほど魅力を秘めた処である。
 尾道港再生で具体化されたのは駅前再開発に連
動、ポートルネッサンス事業として駅前のグリー
ンヒルホテルなどが入居している港湾ビルと駐車
場整備それに駅前桟橋の改築。みなとオアシスは
これに続くもので港復活に向けての切り札として
位置づけている。
 2号上屋をどのように賑わいのある空間に演出
していくか事業の命運を握っており、これから策
定する運営プランに注目が集まっている。瀬戸内
の生きの良い魚をその場でさぱき提供、アンティ
ークな倉庫でジャズやクラシックが流れ、夕日を
見ながらグラスを傾ける洒落た雰囲気も悪くはな
い。[文責・半田元成]

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