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2006年8月18日(金) 千光寺ロープウェイ 半世紀で観光客1200万人運ぶ 眼下に町並みと瀬戸内の絶景を |
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尾道の風景の1つとして溶け込み、観光尾道の シンボルとも言える「千光寺山ロープウェイ」が 今年、開通50年の節目を迎えている。半世紀の間 に運んだ累計乗車数は1200万人近くにのぼり、 眼下に広がる鳥瞰的な尾道の町並みを観光客に提 供し続けている。 [幾野伝] ロープウェイが開通したのは1957(昭和32) 年の3月25日。東土堂町、平櫛資正さんの「尾道 乃記録」によれば、この年には中国四国連絡道路 建設促進期成同盟会が発足し(4月)、尾道高校 が開校(5月)、さらに尾道青年会議所(9月) や尾道農協病院(11月)が誕生している。第1回 市美術展や大菊人形展(菊花大会)もこの年の秋 に始まっており、敗戦からの復興もある程度の段 階に達し、経済成長と共に文化活動や観光事業が 活発化し始めた時期といえる。映画『東京物語』 の公開から4年、同記録によると「この年各映画 社の尾道ロケ多し」との記述もある。 市観光文化課によると、2006年3月末まで のロープウェイの総乗車数は1170万9385 人で、年平均にすると23万4000人余になる。 定期検査や避難訓練、台風などによる運休などを 除いて、毎日午前9時から午後5時15まで15分間 隔で運行。通常は1日34使(片道)で、ゴールデ ンウィークなどの多客期には時間を空けずにピス トン運行して、110便を越えることもある。 長江口の山麓駅から千光寺公園の頂上駅までの 365mを約3分で結ぶ。鉄道で言えば線路にあ たる軌道のメインロープの太さは52mm、2台のゴ ンドラを上げ下げする4本の曳索ロープは22mm。 「つるべ式」の構造で、頂上駅にある操作室で運 転コントロール、メインロープの張力を一定に保 つために、山麓駅側で45tのウェイトを常に掛け ているという。 地上からの高さは約45m、千光寺山の地形に合 わせて27度20分の急峻な角度で走るとあって、眼 下に尾道の町並みや遠く瀬戸内海の島々を望む絶 景を味わうことが出来る。現在のゴンドラは2代 目で、名称は初代と同じ「かもめ」と「さくら」。 2003年に亀田市長の発案でそれまでの赤い車 体から現在のパステルグリーンに衣替えした。 当時の総建設費は6500万円。ちなみにこの 年(1957年度)の尾道市の一般会計予算額が 4億2800円だったことから見ても、巨費を投 じての大事業だったことが分かる。 当初は長江口からではなく、観光客の利便性か ら尾道駅裏からの軌道敷設が計画されていたが、 観光客の回遊性を指摘する本通り商店街などの要 望もあって、現在のルートが決定したという経緯 がある。行き交うゴンドラそのものが尾道の風景 の1つとなり、乗客が「これぞ尾道」を感じるこ とが出来る点から見ても、現在のルートの選択が 正しかったと言えるが、ただ、艮神社や千光寺と いった「神仏」を見下ろし、頭の上を通るという のは、「何でも許された」当時の世相を表してい るのかも知れない。 |