2006年6月9日(金)
工房おのみち帆布
京都の老舗、あの一澤信三郎帆布とエールの交歓
 こだわりの「物づくり」
  遊び心の「鉄腕アトム」の新商品も
対面の様子
 お家騒動で時の話題になっている京都の帆布の
老舗、一澤信三郎帆布をNPO法人工房おのみち
帆布の木織雅子理事長らが1日訪れ、友好を温め、
エールを交歓した。返礼に信三郎帆布も近く、お
のみち帆布を訪れるという。
 7年前、工房おのみち帆布を立ち上げる際、木
織理事長らが元の一澤帆布を尋ね、亡くなった先
代の社長に会い、商売のイロハを学んだ。先代社
長の「軒先で自分の手で売るのが商売人の本道だ」
との話しに感動、しっかりと肝に銘じ、工房おの
みち帆布では店売りに徹してきた。
 今回は貴重な教訓を受け、事業も4000万円
の売上げに伸ばし軌道に乗ったお礼を込め木織理
事長、理事で尾道帆布を経営している高橋裕さん、
副理事長の森迫賢治さんや縫製担当の社員ら9人
で陣中見舞いを兼ね表敬訪問した。
 先代社長の相続をめぐるお家騒動は解決してな
く職人70人を連れて一澤帆布から独立し一澤信三
郎帆布を立ち上げた一澤信三郎さんと会い、友好
を温めた。
 朝日新聞を退職し家業を継いだ信三郎さんは元
記者だけあって帆布に関する情報は高いアンテナ
を張り、工房おのみち帆布に関しても木織さんら
が驚くほど、よく知っていた。商売だけでなく帆
布展やワークショップ、尾道大学活性化企画発表
会など社会貢献している活動を羨ましがっていた。
 信三郎さんは昨年8月、お忍びで工房おのみち
帆布を訪れ、見学して帰った。あとになって当時
の朝日新聞尾道支局、堀田記者から話しを聞いた
木織さんは「声を掛けてくれれば良かったのに」
と残念がった話しをすると信三郎さんは「今度は
うちの職人を連れて行きましょう」と約束した。
 一澤信三郎帆布はクラボウの帆布を使っている
が尾道帆布の高橋さんが「是非とも我が社の帆布
も利用してみてください」と売り込み、検討して
みたいとの返事を引き出した。
 1日の金曜日の平日にもかかわらず店内は人で
ごったがえし、店頭ではガードマンを雇って交通
整理していた。買い物は1人2点までに限定、売
り切れると店じまいした。
 手塚治虫の「鉄腕アトム」の版権を獲得、遊び
心の帆布製品を売り出し、これまた引っ張りだこ
の売れ行きだという。
 遺産相続が尾を引き、工場の引き渡しがこじれ
帆布工房は3ヵ所に分散、民家の土間を改造した
8畳の小さな部屋にミシンや道具を持ち込み縫製
作業している所も見学した。
 品質へのこだわりは人一倍強く、ファスナーは
YKKに特別発注した一澤ブランドを使用。バッ
クで手にする持ちテープも既製品は使わず職人の
手で縫い合わせ、しっかりした手触りに仕上げ、
ほんの小さな部品まで徹底してこだわっている。
 「物作りの原点を見させてもらいました。我々
も技術を磨き、もっともっと良い商品を作らなけ
れぱと良い刺激をうけました。信三郎帆布とはこ
れからも交流を深め、お互い帆布の普及に努めて
いきたいと思います」(木織理事長)と1日研修
で大きな収穫を得たと語っていた。
 一澤帆布と工房おのみち帆布との関係について
日本経済新聞が「一周遅れのランナー」の特集記
事を載せている。



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