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2006年5月9日(火) 浄土寺の七百年祭 「心」今に生かし伝える 本尊特別開帳や砂曼荼羅に願い |
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東久保町、国宝の寺真言宗浄土寺(小林海暢住 職)の再興七百年祭が7日で最終日となり、柴灯 大護摩供などが営まれた。連休に合わせて3日か ら行われた七百年祭には、本尊の秘仏十一面観世 音菩薩(国重要文化財)が5年振りに開帳される など、5日間で約8000人(同寺発表)の市民 や観光客の参拝者が境内を訪れた。 鎌倉末期の1306年、奈良西大寺の僧、定鐙 上人によって同寺が再興、現代まで受け継がれて いる浄土寺伽藍の原形が完成して今年でちようど 700年にあたることから、上人への感謝と社会 の平和などを願って行われたもの。 通常なら33年に1回、今回は特別に開帳された 本尊十一面観世音菩薩の前では、参拝者は列をつ くってお参り、静かに手を合わせていた(=写真 右)。最終日夕方には閉扉式が営まれた。次回の 本尊開帳は28年後の予定。 国宝の多宝塔では、チベットの高僧2人によっ て作られた「チベット砂曼荼羅」が公開された。 智慧と慈悲に満たされた悟りの世界を表現すると いわれる曼荼羅(まんだら)は、宇宙を生成する 「地水火空風」を象徴する白、赤、黄、青、黒の 5原色を基本に20色の細かな砂粒を床面に描くチ ベット仏教独特の砂絵。数年前から浄土寺と親交 を深めてきたデプン大僧院とゴマン学堂僧の2人 が16日間、多宝塔に籠もって制作した。 砂は接着されておらず、少しの風や振動でも崩 れてしまうことから、ガラスケースに入れて公開。 何とも言えない鮮やかな色彩に、見学者は息をの んでいた(=写真左)。 小林暢善副住職は「定鐙上人は、当時混乱して いた各宗派間の争いごとなどをまとめ、仏教が栄 えることで生きる者が皆等しく救われると説いた 人物。この上人の心を現代に生かしながら、未来 に伝えていくために、これからもつとめを果たし ていきたい」と節目の祭日に語っていた。 この先13日夜には境内で協賛行事の尾道薪能 (本紙既報)、来月10日にはしまなみ交流館で人 間国宝松浦昭次記念講演会(寺主催)、10〜11月 には第5回尾道源氏絵まつりがある。 [幾野伝] |