2006年5月9日(火)
亀森八幡神社
原産地、旧ユーゴスラビアと親善深める
 除虫菊生みの親を偲ぶ
  故上山英一郎氏、蚊取り線香開発
祭典の様子
 かって蚊取り線香や殺虫剤の原料として瀬戸内
の島々で栽培していた「除虫菊」の種をアメリカ
から持ち帰り普及させた大日本除虫菊(金鳥)創
業者、故上山英一郎氏を祀る祭典が8日午前11時
から向島町名郷丸、亀森八幡神社(吉原典孝宮司)
で執り行われ、遺徳を偲んだ。
 上山氏をまつった除虫菊神社には満開の除虫菊
に鯛、葡萄など海、山の幸が供えられ、吉原宮司
が上山氏の偉業をしのぶとともに大日本除虫菊の
隆盛を祈り祝詞をあげた。
 毎年、祭典に列席している孫にあたる上山久史・
大日本除虫菊専務=写真=、森重彰文市立美術館
長、県除虫菊協同組合、卸問屋役員の子孫ら15人
が次々に玉串を捧げた。
 英一郎氏は故郷、和歌山に続いて瀬戸内に除虫
菊を植えたのが1890年(明治23年)の116年
前。蚊取り線香や殺虫剤の原料として農家で栽培
され、初夏に瀬戸内の段々畑は一面、真っ白な絨
毯を敷きつめたように美しく咲き誇り、戦後まで
季節の風物詩として親しまれていた。
 その後、化学殺虫剤の開発で除虫菊は使われな
くなり、現在は観光用にと千光寺公園と因島の2
か所だけとなった。
 創業者、上山氏を顕彰するため、まだ存命だっ
た1930年(昭和5年、亀森八幡神社に日本刀、
写真、鏡を安置した除虫菊神社を建立。以来毎年、
祭典がおこなわれ、今年で76回目を迎えた。
 尾道でも千光寺参道沿いに上山氏のレリーフを
はめこんだ「除虫菊発祥之碑」を建てて功績を伝
えている。また大日本除虫菊が尾道市に650万
円を寄付して再整備した千光寺公園内の除虫菊畑
は今年も満開の花を咲かせ、観光に一役買ってい
る。
 除虫菊は15世紀頃、殺虫効果があることが分か
り、ノミ取り粉としてヨーロッパに広まった。明
治時代、上山氏が世界で初めて渦巻き型蚊取り線
香を考案。昭和初期、日本とユーゴスラビアが2
大産地として除虫菊の粉を世界に供給していた。
 除虫菊原産地、セルビア・モンテネグロ(旧ユ
ーゴスラビア)と大日本除虫菊との交流の絆は深
く創業者英一郎氏が名誉総領事に、子どもの勘太
郎氏が副総領事、孫の直英社長が一昨年、名誉総
領事に任命され除虫菊を通して現在も国際親善に
務めている。



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