2006年3月11日(土)
写真集を出版
傘寿のアマチュアカメラマン、土本さん
 カメラと歩んだ戦後60年
  戦争体験を通して平和への思い
尾道 ふるさと いまむかし 写真集出版
 傘寿を迎えますます意気盛んなアマチュアカメ
ラマン、土本壽美さんは自らの半生を振り返り平
和への思いを込めた「ふるさと いまむかし−カ
メラと歩んだ戦後60年」を19日、自費出版する。
5万枚にもおよぶ写真の中から500枚を厳選し
自分史を綴っている。
 昨年出版した合併記念「ふるさと尾道・向島・
御調60年間の写真記録」に続いて2冊目の写真集
で「少年から青年へ」、「造船と働く人」、「人
々の暮らし」、「捕虜との出会い」と時代を追っ
て4章から成り、A4版117頁に編集されてい
る。
 傘寿になった土本さんの底流に流れるのは平和
への思い。終戦間際の昭和20年3月出征、わずか
5ヵ月の軍隊生活だったが戦争の悲惨さ、平和の
尊さを目のあたりにし戦後、米英の元捕虜との交
流にことさら力を注いできた。
 こんな物をというぐらい物を大切にして、それ
を時代を追って整理し写真日記は53年間、1日も
欠かさず付けてきた土本さん。今では見られない
徴兵検査通達書、戦時中国が軍事費を集めるため
発行していた報国債権、軍用機に献納者の名前を
つけた「向島号」など貴重な資料も掲載、歴史の
一断面を知ることができる。
 長く、社内広報係を務めていた日立造船では終
戦直後の潜水母艦の解体、捕鯨船の進水式の模様
やヘルメットを被り仕事をしている同僚の姿を活
写、造船王国日本の現場風景を写しだしている。
 人々の暮らしは塩田の浜起こし作業やい草の収
穫、昭和22年の初めての続一地方選挙、青年会の
活動、開通した当時のロープウェイと野次馬精神
が旺盛でフットワーク軽く、何処にでも出かけシ
ャッターを押し続けていた。
 戦争体験を経て平和ヘの思いを強くし戦後、昭
和59年4月、向島紡績の収容所で生活していたイ
ギリス兵を皮切りに次々に来向する元捕虜と積極
的に親交を結び、その功績でイギリスの日本大使
館から招待状が届き、平成14年に日英和解の旅に
出かけた。
 土本さんは「戦争は私達に大切なものを沢山教
えてくれた。命の尊さ、戦いの悲惨さ、そして平
和に自由に生きる幸せ、素晴らしさを。平和であ
りたい一念で本書を出版しました」と話していた。
 19日の発売にこだわった。というのも昭和20年
3月19日、入営の前日で備後地方に敵機グラマン
の初空襲があり生涯忘れらない日となった。また
平成14年3月19日、向島町小歌島の小公園で平和
のシンボル「日英友好モニュメント」の除幕式が
おこなわれ、喜ぴもひとしおだったことが記憶の
一隅に住み着いている。
 定価は3150円で市内の啓文社や河本書店で
販売する。

啓文社は尾道駅の並びのデパート福屋の2階にもあります



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