2006年2月26日(日)
商業会議所記念館
 通りから正面上半分は見えず
  かつての姿が尾道経済の歴史を
アーケードに隠れた建物上部
アーケードの上に突き出た部分
 土堂1丁目、本通り商店街の旧尾道商工会議所
ビル(1923年建造、市重要文化財)を復元再
生した「尾道商業会議所記念館」の3月4日のオ
ープンを前に、24日午後、新聞社などへの事前公
開が行われた。残されていた写真や証言などをも
とに、商業会議所当時の姿が内部・外装とも再現
されたとあって、「商都尾道」のシンボル復活で
はあるが、次なる課題も浮かんでくる。
                 [幾野伝]

 記念館は建築面積162平方m、鉄筋コンクリ
ート造り地下1階・地上3階建ての延べ床面晴5
05平方mで地上から塔屋までの高さは17m。1
階は資料展示とインフォメーション、休憩スペー
ス(無料)。2階は階段状の会議場(50席)を復元
(貸し室)、一段高い後方には議場を見下ろせる傍
聴スペース、会頭室も復元した。
 窓枠は全て木製にし、高い天井からはかつての
シャンデリア風の電灯、内壁は漆喰風の吹きつけ
で仕上げた。3階(事務所)や屋上への階段などか
らは千光寺山中腹の家並みや古寺を見ることが出
来る。
 外壁は粒石を使った洗い出し工法で、玄関口を
はじめ、かつての意匠を細かいところまで再現し
てみせた。昨年8月から本体工事を施工した堀田
組の平谷信英社長は「中国地方に2人しかいない
特殊技能を持った左官を招いたが、外壁には飾り
がたくさんあるため、この左官工事だけで2ヵ月
を要した。それにしても昔の職人はすごい技術が
あったことが分かった」と話していた。
 1階には尾道商工会議所や尾道経済の歴史につ
いての紹介や写真パネル、古い資料などを展示し、
大正から昭和初期の「イロハ金庫」、「福助看板」
も常設する。
 西隣の記念館広場(元西日本銀行)は海岸通り
まで抜ける形で、面積は778平方m。公衆トイ
レ、ベンチを置き、有名人の足形陶板を展示する。
さらに西隣の「おのみち街かど文化館」(元明治
生命、前ふらっと館)は1階が貸し市民ギャラリ
ー(80平方m)に改修された。2・3階は将来、
エフエム尾道のスタジオ(事務所)になる予定。
 工事費は記念館が1億1500万円、広場が4
800万円、街かど文化館が1530万円。
 記念館はせっかく復元再生されたが、アーケー
ドの屋根が接しているために、残念ながら正面か
らは全体の姿を見ることが出来ない。建物上部は、
山陽線の跨線橋あたりまで行けば遠望出来るが、
当然ながらそれでは下部が見えなくなってしまう。
せめて記念館前だけでも部分的にアーケードの屋
根を取り外すことが可能なのか、あるいはこれを
きっかけに本通り全体のアーケードの是非まで話
が発展することはあるのか、景観・デザイン的に
も大きな課題ではないか?
 また、西隣の記念館広場はカラー舗装(市公会
堂前と同じ)となるが、近くの住民からは「尾道
駅東側の土地(マンション買い取り地)を芝生にす
るぐらいだから、こういう空間こそを芝生広場に
して、木陰になる樹木をたくさん植えれば、本当
の憩いの場になると思いますが?」といった意見
も聞かれる。

場所はこちらの「お」



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