2005年10月23日(日)
後継者に道譲る
75年の歴史と伝統のアイスキャンデー
 川尻「花月」店を閉じる
  木曽さん19年間の細腕繁盛記
店先木曽さん
 昔懐かしい夏の風味で全国各地から買いに訪れ
ていた向島町川尻、アイスキャンデーの店 「花
月」=木曽美代子さん(66)経営=が惜しまれな
がら10月で閉店した。75年の歴史を誇る伝統の味
は後継者も見つかり一安心。木曽さんは「長い間、
ありがとうございました。これからもよろしくお
願いします」とお礼を述べていた。
 木曽さん宅は江戸時代末期、雑貨商を営んでい
た豪商。その家屋は100年以上経ち、京大の考
古学グループが度々調査に訪れ、国や県の重要文
化財に指定されてもおかしくない程の稀少価値が
あった。残念ながら平成5年、街路事業川尻・小
歌島線の改良工事で解体、すぐ近くの現在地に店
舗を構えた。
 手作りアイスキャンデーは故父、勝さんが昭和
5年に始め、当時アイスキャンデーを作って・い
たのは花月のほか町内に2〜3軒あり、冷蔵庫も
ない時代、「チャリン、チャリン」と呼び鈴を鳴
らしながら自転車で売って回っていた。花月では
11人の売り子がいたという。店頭には縁台を置き、
将棋をしながら当時、珍しかったアイスキャンデ
ーを食べるという、のどかな下町風情が人気を呼
んでいた。
 木曽さんは昭和38年、5代目、貞右衛門さんと
結婚。当時はクラプ活動を終えた高校生ら学生で
大賑わい。昭和61年、病気がちだった父勝さん、
母アサコさんに変わって店を切り盛り木曽さんの
細腕繁盛記が始まった。サラリーマンだった貞右
衛門さんが翌々年退職、夫唱婦随でアイスキャン
デー作りに精を出していたが3年後、夫が死亡。
悲しみに暮れる暇もなく営業を続けてきた。
 細腕繁盛記19年、「病気で休んだことは1度も
ありません。店を守っていく責任で気を張り詰め
ていたのでしょう」。冠婚葬祭の時は母アサコさ
ん、親族、友人に協力を仰いだ。
 名物のアイスキャンデーは19年間、1本60円と
値段は据え置き。イチゴ、レモン、みかんなど7
種類のアイスキャンデーは砂糖、粉ミルクをさっ
と煮てイチゴなど蜜を混ぜ1本1本形にして冷凍
庫で固める昔ながらの手作りにこだわり、手間隙
かけて作ってきた。
 19年間やっていると子どもも成長、結婚して嫁
いでいった顔馴染みは里帰りする前に花月に寄り
木曽さんに土産を渡し、帰る時は「また来年、楽
しみにしています」と声をかけ帰っていくという。
木曽さんは「皆さんに懐かしがっていただきまし
た」とアイスキャンデーだけでなく木曽さんの人
柄に惹かれ店を訪れる人が多い。
 「昔は家族に頼まれ、おつかいに来ていた子ど
もが多かったですが、今はおじいちゃんが孫のた
めに買いに訪れ、時代の移り変わりを感じます」
と。「私は不器用でこつこつ働くのが好きです」
とイベントや他から引き合いが沢山あったが店売
りを頑なに守ってきた。
 閉店にあたり「長い間、お世話になりました。
今シーズンでお店を閉めます。沢山の想いでを有
り難うございました。お陰さまで楽しく働くこと
が出来ました。これからもよろしくお願いします」
と感謝とお礼を述べていた。
 川尻での花月の営業は幕を閉じ、後継者が他の
場所で営業する話しが進んでいる。「後進の人に
御手伝いすることがあれば力になっていきたい」
と後継者が出てきたことに一安心していた。

こんなお店でした



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