2005年9月9日(金)
「水と魚の記憶」をキーワードにアートプロジェクト
 ふたつの向島<東京←→尾道>
  劇団・トリのマーク(通称)代表、柳澤明子
松山での一コマ
マーク
 「ふたつの向島」−。東京都墨田区向島と尾道
市向島を″水と魚の記憶″のキーワードでつなぐ
地域交流型アートプロジェクトが11日から19日ま
で尾道市内でおこなわれる。アートプロジェクト
を企画した劇団・トリのマーク(通称)代表、柳
渾明子さんに趣旨や想いを寄稿してもらった。
 広島県尾道市の向島(むかいしま)、東京都墨
田区の向島(むこうじま)、この同じ地名であり
ながら読み方の異なるふたつの地域をつなぐアー
トプロジェクトを思い付いたのは、2004年の
春でした。
 その年、わたしたちは<演劇>のジャンルでは初
めてアサヒ・アート・フェスティバルに参加し、
東京都墨田区向島の3つの会場でそれぞれ新作を
書き下ろし、上演するという企画を始めていまし
た。その作品づくりのために、向島をぶらりぶら
りとまちあるきしていたのです。
 古くからの路地がそのまま残っています。家の
前には鉢植えの植物がたくさん。お年寄りが多く、
若い人の姿をあまり見かけません。時間が少しゆ
っくり流れているように感じました。通りに沿っ
て、シャッターの降りたままのお店がありますが、
同時に新しいギャラリーやカフェなど洒落たお店
も出現しています。
 「どこかに似ている..」
 それはその前の年の2003年に、公演で訪れ
た尾道の町の光景でした。
 ふたつの町ともに、アートプロジェクトを企画
したり、まちづくり系の方々がさまざまな企画を
展開したりと、古くから続く町並みの魅力を大切
にしながらも新しい試みを行い、町の活性化に力
を入れています。
 そして共通して「水」「魚」にまつわる場所が
多いことに気付きました。向島には「路地尊」
「天水尊」と名付けて、雨水を貯水した場所があ
ります。隅田川があります。尾道では町のあちこ
ちに古くからの井戸があります。尾道水道があり
ます。
 このふたつの町をつなげられないだろうか..。
そう思ったのがくふたつの向島−東京←→尾道―〉
のきっかけでした。
 <ふたつの向島>のプロジェクトは、水と魚の記
憶が大きなテーマになっています。水と魚につい
ての思い出を、両方の町でまちあるきを兼ねたオ
リエンテーリングを開催し、記憶アンケートとい
う形で集め、それを往復書簡のように双方の町に
送って、展示し、最後はりーディング公演(朗読
劇のようなもの)に仕上げて、それぞれの町で発
表する、というものです(この企画はアサヒアー
トフェスティバル2005に全国170企画の公
募の中から選定され、地域をつなげる試みとして
フェスティバルの内外から注目を集めています)。
 尾道の人々はどんな「水と魚の記憶」を持って
いるんだろう、東京の人はどうなんだろう..。水
と魚の記憶を媒介にして、他の町に住む人々に思
いを寄せるような、そんなことがこのプロジェク
トでできたら、これにまさる喜びはありません。
 9月11日から19日まで尾道で開催するこのアー
トプロジェクトに足をお運びいただけたらと思い
ます。よろしくお願い申し上げます。
 [写真は四国松山市でのアートプロジェクトの
一齣]。



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