2005年5月13日(金)
週刊「日本の町並み」
「この町並み・景観を誰が守るのか」
 大トリで尾道 美しくも、内容充実
  絶賛『日本の町並みを鳥瞰する尾道』と
表紙
 京都「祇園」に始まった学習研究社の「日本の
町並み」全30集の大トリ「尾道」編が12日、発売
となった。引き続いて週刊日本の町並み・別冊
「港町」(仮題)が6月16日に発売されるが、
「わが国を代表する美しい港町」の全国7都市の
1つに、我が尾道もノミネートされており、これ
だけ全国的に評価が高い『尾道という町を我々は
どう守り育てていくのか』という課題をも併せて
提起されているといえよう。
 今年初めごろから、週刊日本の町並み編集長の
牧敬介氏らが取材のため来尾。市文化財保護委員
の村上宏治氏らが主に写真で協力した。
 12日朝、本紙から編集部に照会と礼の電話を
し、牧編集長は「尾道は本当によい所ですネ。こ
れからも機会があれば尾道を取り上げたいので、
よろしく」とのメッセージがあった。
 建築史家・昭和女子大学長の平井聖氏の「町並
みの歩き方」のスケッチ・エッセイから始まり、
尾道の見どころガイドまでの全34頁。
 トップが「日本の町並みを鳥瞰する」尾道とあ
り、尾道にとって最大級の讃辞が寄せられてい
る。
 尾道三山と尾道水道、その山腹に古刹と斜面に
住宅地が広がり、細い路地や坂道。海岸には港町
の繁栄の歴史を留め、東西に走る商店街などをつ
なぐ通り(小路)がそれぞれに異なる表情を持ち、
それらが生活感あふれる歩きたい町を形づくって
いる−と表現している。
 町並みめぐり(1)は千光寺周辺。コラムは「風景
に魅せられ、町に惚れた尾道ゆかりの文人たち」
で林芙美子、志賀直哉に頼山陽と平田玉蘊が登場。
玉蘊の″全国区″の扱いはこれが初めてではなか
ろうか?。
 町並みめぐり(2)が長江口・浄土寺周辺。浄土寺
山から西の町並みを望むの風景に、浄土寺下の、
マンション建設を阻止した成果がよく表れている。
 町並みが育んだ文化では「石造物が物語る町が
育てた職人の技」として、尾道のもう一つの顔
「石の町」を取り上げている。
 歴史をたずねては「北前船が往来し、瀬戸内の
一大拠点として栄えた尾道」で、おのみち歴史博
物館の陶板になった「安永の絵屏風」や絵馬に残
る北前船、平山角左衛門翁まで紹介されている。
 コラムの(2)が「尾道の町に思いを込めた『東京
物語』と『尾道三部作』」。美しい情景の裏にあ
る失われゆくものへの警鐘と時代を透る眼が正し
い。
 その他「泊まる」、歳時記、買う・食べる、見
どころガイドなど。
 写真の美しさと、内容のレベルの高さで、超逸
品といえる。是非、尾道人なら手元に一冊置いて
ほしい作品。
 定価560円。

転載責任者メモ:道で観光客に「どの辺を見たら良いですか」と聞かれたとき、
        尾道では大きく分けて2通りの答えがあります。1つは千光寺山
        展望台や浄土寺など、観光バスが行きそうなところ。もう1つは
        隙間から海が見えるような路地に案内して「こういう所が尾道
        らしいんじゃあ」という。神社に案内して、神社の由来より石段の
        出来を自慢をしてしまうとか。

        多分観光バス的な場所を示される方々が、尾道に限らず東京でも
        どこでも多いのでしょうが、それは「ヨソから来た人が何に興味を
        持つか」見当も付かないからで、これは仕方がない。そこでこういう
        尾道を客観的に評価している本が役に立ちます。おそらく暮らしの中で
        当たり前になっている風景で、「こんな所が面白いの?」と地元の方が
        思われるような場所で、写真家はシャッターを切っているのではないかと。


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