山陽日日新聞ロゴ 2004年9月11日(土)
尾道郵便局
独学で古文書を解読する半田さん
 異国船防禦やデフレ対策
  橋本家文書「新撰組と同時代の尾道展」
展示物を前に半田さん
 独学で古文書解読に取り組んでいる向島町津部田、
半田堅二さん(53)が勤めている尾道郵便局窓口ロ
ビーで「橋本家文書に見る『新撰組と同時代の尾道
展』を開いている。17日まで。
 NHK大河ドラマで放映されている「新選組」が
活躍している幕末、尾道ではどんな動きがあったの
か興味が湧き、月2回、広島市の県立古文書館に通
い、橋本家文書から面白く、ためになるエピソード
を拾い上げ、現代訳し、古文書→作文→読みくだし
文を併せ展示している。
 江戸時代末期、1854年(安政元年)から王政
復古の大号令が出る1867年まで京都、江戸の幕
末情勢とこれに呼応した尾道の動向を新撰組とから
めた釈訳25点が掲示されている。
 尾道の動きは1854年7月、町奉行所が出した
「異国船の防禦についての触れ書」に続いて185
9年3月、「三原沖に異国船現る」と瀬戸内にも外
国船が入り、ビックリしている模様がつづられてい
る。
 「異国船防禦のお金出します」では寺の梵鐘や金
属は使ってはならないとのお達し、「異国船対策の
お金献上します」では福善寺が米18俵、竹原屋調兵
衛が4人半扶持(米4石半)など4人が拠出。鉄や
米を換金した金で因島、向島町立花に異国船対策の
砲台を設け、その痕跡は今も見ることができる。
 「殿様が浦島を見回りするに付き意見書」。殿様
の船とは200〜300m離すこと、家から殿様を
見ても良いが小路にでて拝見してはいけないなど事
細かに列挙している。
 「諸隊の入隊書」では向東町森金、吉和屋栄助倅、
房之助、25歳と具体名が記され、入隊願が出されて
いる。
 中央では1864年8月、「京都三条川原の制札」。
新撰組を統括する会津藩主、松平肥後守が京都守護
職の時、1000人の長州藩士を追い払うのに行路
を焼いたと書き立札で掲示。「NHKの大河ドラマ
では長州藩士が行路を焼いたと描かれており、全く
逆で面白かった。ただこの制札を書いたのは日本義
士の名前となっており、ウサン臭いのですが」(半
田さん)と面白がっていた。
 また「デフレの対策の願い事」。幕末も現代と同
じデフレ。しかし余りに質素倹約の度が過ぎたので
庶民は困窮、絹の着物を着たい、芝居や相撲を観て、
遊女芸者遊びをしたいと書き連ねている。幕府や町
奉行所への陳情書ではなく、庶民の鬱憤晴らしとみ
られている。
 「幕末の尾道の動静を頭に入れ、NHKの新選組
を観ると、より一層、面白いですよ」(半田さん)
と話していた。
 半田さんは生まれ育った郷土の歴史を繕こうと昨
年2月から独学で古文書の解読に取り組み、同6月、
甲山町の太田庄歴史古文書を読む会に入り、備後地
方古文書解読で名を馳せている国正利明氏から13人
の仲間と共に指導をうけ、メキメキ、力をつけてい
る。
 学習したその成果を発表しようと今年6月、同局
で「古文書を10倍楽しもう〜阿部正弘と日米和親条
約釈訳展」、続いて8月、絵のまち館「不定形興業
展」に新撰組と尾道で出展した。
 今、「龍馬の手紙」を読みくだし、ハマッており、
何らかの機会に発表したいという。
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