山陽日日新聞ロゴ 2004年8月13日(金)
「ブーム」の裏に
「尾道のラーメン」か「尾道ラーメン」か?
 老舗の頑張りが大きい
  1杯4百円台。昔ながらの旨くて安い
朱華園、つたふじ、壱番館、みやち
 多くが「屋台」などから始まった老舗のラーメン
屋さんの頑張りによる「ラーメンの町尾道」が、い
つの間にか「尾道ラーメンの町」に変わりつつある
中、今夏もお盆休みの名物ラーメン屋の行列の時期
がやってきた。12日の住吉さんの花火まつりの日
から、市民はラーメン屋の行列を見物することにな
る。
 7月31日の住吉花火まつりが12日夜に延期さ
れたことで、木曜日定休日の朱華園とみやちが急速、
前日の11日に代替の臨時休業し、住吉まつりのス
タンバイを済ませた。
 例年、7月末ごろの住吉さんを照準に、地元出身
者の夏休み帰省が始まり、住吉まつりの日とお盆休
みの期間中、ラーメン屋に長蛇の列が見られるのが、
ここ十数年の盆の風物詩のひとつになっている。
 今年は、住吉まつりが延期された影響か、行列の
長さは例年より短い。それだけに、12日から16日
ごろまで、例年以上の来客を期待する店がほとんど
で、まず12日の花火の日にかかる期待は非常に大
きいものがある。
 本紙では、何十年来、「このラーメン屋さんの行
列をポンヤリ眺めているのではなく、これをどうし
て商いにつなげていかないのか?」と提起し続けて
きたが、尾道市民の出した「答え」は「ラーメン屋
の開業」で、ここ1、2年の間に旧市街地に4軒の
新規ラーメン店の出店が相次いだ。
 東から順に長江口遊園地隣りの「たに」。中浜西
入口の昔懐かしい「天楽」。海岸通り青木組隣りの
手打ちの「伝でん」。福本渡船東の海が見える「喰
海」の4店舗がそれ。
 また、書き入れ時だけ開店する尾道ラーメンの店
や、メニューに尾道ラーメンを追加し宣伝する飲食
店も増えている。
 お店によっては、「尾道ラーメンを下さい」とい
う来店客に対し、「ウチには尾道ラーメンはありま
せん」と、『尾道のラーメン屋を強調する』プライ
ドも残っている。
 「尾道のラーメン」のブームは、これら老舗の永
年の頑張りのお陰であり、とりわけ老舗の経営者た
ちが伝来の品質にこだわり続け、なおかつ日本列島
がバプルに狂った中で『市民の必需品としての低廉
な価格』を維持してきた所産。文字通り安くて旨い
のが、とくに都会の若者に大ウケしている。
 尾道のラーメン屋紹介は、飽和状態に達し、穴場
として尾崎や防地ロ北の街はずれの店までがPRの
対象となり、車社会もあって栗原や高須の店までが
観光客のターゲットと化している。
 永年、これら名物ラーメン店を育ててきた市民に
とっては、今や昼食時や日曜祭日は『観光客に自分
の店を占拠された』状態が永く続き、老舗のラーメ
ン屋さんはラーメンを食べるよりは、その行列を眺
める店にまで変化してしまった。もっぱらこの時期
の市民の話題は、行列の長さと、行列が出来る時間
帯の早さにあると言っても過言ではないほど。
 さて、今夏はいつ、どのくらいの行列が出来るか
?。これを見物するのをお盆休みの楽しみの一つに
したいものである。
写真のラーメン屋さん個々の場所はこちらの「お店」に



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